「レインツリーの国」日本語字幕で


レインツリーの国」日本語字幕で観てきました。
この映画には聴覚障害者が出てきます。
聴覚障害者=手話というイメージが強くありますがこの映画に手話はでてきません。
残存聴力を補聴器で補う難聴者が主人公だからです。
聴覚障害といっても、聴力の程度もコミュニケーション手段も
みんな違うということを理解してもらえる映画だと思いました。



そして、「聞こえないことを隠した経験」のある方なら
きっといろんな部分で共感できる映画だと思います。
聞こえないということは外見で分かりません。
本人ですらも体調や環境によって聞こえたり聞こえなかったり、聞こえにくかったりと
正確に把握しにくいものなのです。
自分で把握できない不安定な聞こえ方を、周囲に説明するのは難しいことです。
中途半端なくらいだったら、いっそ隠しておいた方が楽。そんなふうに思ったりもします。
あるいは、聞こえないことをさらけ出すと、逆に不利益を被ることもあります。
会話がちぐはぐになり笑われることや
「どうせ聞こえないから」
と勝手に決めつけられたり、
「聞こえない人を助けてあげなくちゃ」
という上から目線の優越感を押し付けられたり。
そんな経験を毎日ずっと繰り返すと、
自分に自信がなく、
人を信用できず、
卑屈で、意地っ張りで嫌な人間になります。
私もそうでした。



だからこの映画の中で、
聞こえないことを隠してデートをしたときの彼女の気持ち
懐かしく思いました。



ほんの一日だけなら、
ほんの数時間だけなら
「普通の女の子」としてできるんじゃないか。



でも結局うまくいかなくて、
「やっぱり聞こえない私はダメなんだ」と落ち込んだり。



そんな心情が、中盤までとても丁寧に描かれています。
「聞く」というコミュニケーション手段を失った分
「言葉」を大切にしていることなども、
映画として素直に良かったと思います。


エンドロールで、
監修:東京都中途失聴・難聴者協会青年部と、
代表者四名の名前が出てくるのですが、その中に
寺田翔君の名前を見つけてちょっと感激。
彼は、「ワンポイント手話」で共演している好青年です。
日本語字幕上映は今日までですよ。


気持ちを揺さぶられた映画の後には、衝動買い…
「オトナになった自分」へのご褒美?