手話で通話できる公衆電話ボックス「手話フォン」を試してみました。
12月3日、国内ではじめて羽田空港国内線第1、2旅客ターミナル出発ロビーに設置されたものです。
公衆電話より一回り大きめで、使い方はいたってシンプル。
相手先の電話番号を押すと、画面に映るオペレーターが手話で電話をつないでくれるので
ほぼリアルタイムで電話ができるのです。
公衆の電話リレーサービスですね。
利用料は無料で、時間は午前8時〜午後9時まで。
一緒に仕事をしている空港関係者に、羽田空港から電話をする私。
空港という場所ですから
「爆弾低気圧で全便欠航のため宿泊先をキャンセルしなくてはならない」といったときなど、活用できそうです。
この「電話リレーサービス」は私は日常生活で利用しています。
スマホやパソコンで、チャット、LINE、手話で電話をつなぐサービスで
日本財団が2013年から開始し、現在契約している聴覚障害者は5000人以上だそうです。
今では日常生活のほとんどがスマホひとつで事足りるのですが
美容院や病院、レストランなどの予約はもちろん
キャンセルなど急ぎの時、子どもの保育園や学校への連絡など
電話が必要なこともあります。
実は電話って、日本で唯一聴覚障害者がアクセスできないインフラなのです。
日本で聴覚障害者が電話ができないのは常識のように思われ
職場でも電話が必要のない仕事や部署へという「配慮」がされることもあります。
「電話お願い手帳」などというものもありました。
電話に関しては「お願いします」「ありがとう」の繰り返しで
自立には程遠いと感じていました。
しかし、電話リレーサービスの委員会に関わり
海外では20か国以上で公的なサービスとして利用され
24時間無料で提供されている国も多いと知って驚いたものです。
今回設置された「手話フォン」が従来の「電話リレーサービス」と違うところは何かというと
「公衆」であることに加え、手段が「手話」に限られていることもあげられるでしょう。
電話リレーサービスは、手話の他、即時性のあるチャットやLINEでの対応も選べるのですが
手話フォンは、現時点では手話対応のみです。
実は、聴覚障害者の中には手話ができない人も多くいます。
手話は分かるけれど、リアルタイムの会話では難しいという人もいます。
同じ聴覚障害者でも
文字での対応を望む難聴者が多くいるニーズにどう対応していくのか、今後が楽しみです。
公共性の高い場所では、設置するだけでなく
当事者が実際に利用し、使いやすいかどうかを検証し
有効性と必要性を示していく必要があります。
利用する人がいなければ、なくなる可能性もあります。
また、当事者とひとことで言っても、
ろう者もいれば難聴者もおり、
その中でも子どもや高齢者、車いすユーザー、外国人など多種多様な聞こえない・聞こえにくい人がいるわけです。
できる限り多くの当事者が検証する場と
そこで出された課題を改善につなげていくスパイラルアップを繰り返すことが重要です。
2020年オリンピック・パラリンピックに向けて
手話が分かる人も分からない人も、外国から来たろう者や難聴者も
あらゆる人が「気軽に電話にアクセスできる」そんな日本が楽しみ!
今年は仕事で月に何度も羽田空港に行っているので行くたびにチェックです。