東洋大学での授業レポート

後期は大学での授業も多くあります。
ゲスト講師として10年以上ご依頼いただいているのが
東洋大学のライフデザイン学部人間環境デザイン学科での授業
ユニバーサルデザイン各論A」。


聴覚障害の立場から、これまで関わってきたユニバーサルデザインの事例をもとに
モノや施設だけでなく、サービス面や、情報のユニバーサルデザイン
子育てを通した地域とのつながりのユニバーサルデザインまでリアルな話を心掛けています。


デザインを学ぶ彼らは
家電製品やコミュニケーション、情報デザインなどへの関心も高いので
レポートを読むのも面白いのです。


<情報を発信する責任感!>
日本は言葉にとらわれすぎる傾向がある。
ボディランゲージも海外の方が盛んだし、それだけ言葉を大事にしている国だと思う。
しかし、その言葉を使えない人のためにどうすればいいかを考え、対策を立てるのに疎い。
誰かが得ることができない情報は発信してはいけないくらいの責任感を持って
デザインしなくてはいけないと思う。


聴覚障害者への印象が変わった>
今回松森さんのお話を聞いて聴覚障害を持つ人々の印象が変わりました。
第一印象は落ち着いた方だと感じましたが、とても明るく、
講義内容も面白い上に勉強になることも多く、
聴覚障害を持つ方々のニーズと、コミュニケーションの広がりについてもっと知りたくなりました。



<字幕は健聴者にも有効!>
CMや映像の字幕は聴覚障害者の方だけでなく、健聴者の方にも有効だと思います。
私自身、字幕がついている番組の内容は完璧に理解できますが、
字幕のないものは何を言っているか分からない時があり、
内容を理解しているか自信がありません。
反対に、字幕があることによって内容理解が深まります。
また、日本は超高齢社会なので高齢者の方も字幕が助けになります。



<伝わる字幕のデザイン!>
字幕で♬のマークが出ているところである。
これはBGMで音楽が流れていることを表しているが、
どのような音楽かは伝わっていない。
軽快でリズミカルな音楽、スローテンポで悲しい感じの音楽など、
曲の雰囲気を示してもいいと思った。
また、字幕では発した言葉から話している人の表情を感じ取るのは難しいため工夫するデザインが必要だ。



<CMはエンターテイメント!>
CMは企業が試行錯誤した上で制作されており、
テレビ視聴を楽しませる一つのエンターテインメントであるからこそ、
その楽しみを共有できるようにすることは当たり前だと思います。



<気付けない日本の現状>
邦画に字幕がないというのは確かにそうだなと思った。
映画で字幕が必要なのは海外の映画だけ、と私含めて思い込んでいる日本人は多いかもしれない。
でもそれは聴覚に障害がある人のことを考えていないのではなく、
邦画に字幕といった概念がそもそも日本人にはなかったのだと思う。
それも映像を制作する側の人の立場としてあってはいけないことだとは思うが、
一方的にせめることはできないと思う。
障害のある人が困っていることに気づきたいけれど、
言われないと気づくことができないのが日本の現状なのではないか。



<音声を即時文字化!>
今回の講義の際、榊原先生と松森さんがUDトークを使用していたのを見て便利だと感じた。
今まで聴覚障害の方とコミュニケーションをとる際は手話もしくは筆談が必要だった。
「UDトーク」は音声を即時文字化が可能な上に、今の時代ほとんどの人が
使用しているスマートフォンのアプリという点が素晴らしいと感じた。


<心に刺さった言葉>
同じくする必要はない、世界は多様性に満ちている。というのを聞いた時
私たちにも当てはまっていることだと思い、心に刺さったし、とてもいい言葉だと思った。



<良いデザインは伝わること>
デザインを学んでいるものとして、いくら良いデザインでも
情報が人に伝わらないとそのものの良さは何も伝わらないとわかり
これからの授業で意識していきたいと思いました。



<使いやすいだけでなく、楽しいことも大事!>
「みんなが一緒に楽しめることがユニバーサルデザインの基本」という松森さんの考えに感銘を受けた。
みんなが使いやすいデザインを考えることと同じくらいに
楽しめるデザインを考えることも両立していきたい。



私が伝えた以上のことを感じ取ってくれたことが分かり
とても嬉しく思います。
そういえば学生たちは息子と一歳違いなんだなーと妙に感慨深いものが。