なぜリアルタイムは実現しないのか?InterBEE講演

「なぜリアルタイムは実現しないのか?」
そんな切り口で始めた幕張メッセInter BEEでの講演。
テーマは「ICTを活用する放送のユニバーサルデザイン
今回の仕掛け人株式会社ニューメディア出版局長・吉井勇さんの進行で
当事者のユニバーサルデザインアドバイザーとして私からの講演
総務省の情報流通行政局地上放送課長からの講演
ヤマハ株式会社とマルチスクリーン放送協議会からの提案とデモ、という流れでした。
聴覚障害者をはじめ、放送局、ポスプロ、広告代理店、
映画や字幕関係者など定員をはるかに越えた約100人ほどが。


音声認識やセカンドスクリーンは生活に溶け込みつつあり、
日常のコミュニケーションのリアルタイムはほぼ可能です。
なのに、テレビ放送や公共交通機関等ではなぜ“リアルタイム”が実現しないのでしょうか?
テレビの字幕放送は民放は100%となったものの
NHK(総合)では88.9%%です。
(普及目標の対象となる放送番組における字幕番組の割合)


国会中継にも字幕はつきません。
駅や空港も非常時には音声アナウンスが中心です。
これだけの技術が進歩していながらリアルタイムが実現しないなぜ?について。
そもそも“リアルタイム”とは?
聴者と聴覚障害者のズレとは?
改めて「なぜ放送のユニバーサルデザインが必要なのか?」
根拠となる様々な調査や事例の紹介と、
最後に提案をしました。
聞いてくださった方から、嬉しい感想をいただいたので一部紹介します。

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なぜリアルタイムが実現しないのか。
講演では、そこを突き付け最後には不寛容と決断の欠如とバッサリ!
ふだんさまざまな関係者の矜持と渡り合い
歯がゆい思いをしている私には、それがとても気持ち良く感じました。
圧巻だったのが、リアルタイムの必要性についての外堀の埋め方です。
情報格差体験・言語情報処理の具体例や各種調査の数字での実証はもちろん、
ご子息とのエピソードには人の親なら誰でも心打たれます。
柔らかに、でも主張をしっかり残し
リアルタイムの必要性について、同感を得ていく流れが最高でした。
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こうした感想は、自分が話したことはこんなふうに伝わったんだ!と改めて自分を見つめ直し、振り返ることができます。
私自身、字幕付きCMをはじめ
長年放送のユニバーサルデザインに取り組んできた立場としては
総務省、事業者、放送局、その他関係者等様々な立場での矜持や、
バリアや、軋轢がある課題も理解しています。
正確さを求め、間違いを許さない不寛容な社会でもあります。
それでも。
解決にむけての建設的対話の場が必要です。
言うは易し、ではありますが
参加してくださった方々と
現状も、技術も、課題も、可能性も、あらゆる立場から共有できてよかったと思います。


最後に参加されていたろう者から
「私は人生の半分以上は情報がない状態で生きてきた」と
手話で語った率直な一言はとても印象に残りました。


ここからどう展開させてゆくか、ですね。
InterBEEは最新技術の展示会ですが
InterBEERもありました。