桑沢デザイン専門学校「デザインの視点」にて

f:id:karinmatasumori:20190713001049j:plainもう15年近く?も続いているのが桑沢デザイン専門学校「デザインの視点」での授業。
オムニバス形式で各回の担当講師は、
企業のトップからデザイナーも多く、
情報技術からブランディング
身体感覚を活用したデザインなどそれぞれの問題関心やテーマに向き合い、
独自の視点から実践されたデザインに関わる取組みについて学ぶ授業です。
学生数は約200名、ビジュアル、プロダクト、映像、建築、環境など様々なデザインを学んでいます。

物事は捉え方次第でいかようにも価値を見いだせるし
視点を変えることで世界は180度でも何度でも変わる

そんなことを自分が関わってきた
テーマパークから公共施設、
そして情報伝達からエンターテインメント、
地域とのつながりのデザインまで。

学生のレポートを見ると、イラストタッチがあったり手話の動きをスケッチしていたりと、自由で楽しく
新たな視点や目線、発想、アイデアなど次につながるというコメントが多くあり、学生たちがどのように受け取ってくれたのかが伝わります。

 

以下は印象に残ったコメントです。

 

・すべてが新しく勉強になりました。
今まで“どうやって助ければいいのか”という考えだったので
無駄にハードルが高くなっていましたが
先生が繰り返しおっしゃっていた
「どうすれば一緒に楽しく過ごせるか」という視点で考え
同じ目線で“ものづくり”ができたら、と思いました。

・デザインはかっこよく見せるだけでなく、
全ての人に伝えることも大切であることに気付いた。
また、いざというとき人は言葉だけではなく体で表現できるので
人間の可能性を感じることができた講義だった。

・今日の講義を聞いて
「知らないことはもったいないこと」なんだと思いました。
情報を伝える手段をもっと知りたいし、
知らない情報の伝え方をもっと工夫してみたい。
そうした表現から、もっと知らなかった世界や新しいアイデアにつながると思う。

・街中ですれ違う障害者と雰囲気が全く違っていて障害を感じさせない、
とても明るくて良く笑う方だなと思いました。
聞こえないコトをプラスに考えるのは、今まで考えたことがない発想でした。
こうした発想をデザインにも活かします。

・マイナスをプラスに捉える視点、何でも楽しむ視点で生きている印象が
聞いていてとても良かった。
私も気持ちが前向きに、また何か携わりたいと感じた。
携わらなきゃ、してあげなくちゃ、という気持ちにさせず自主的に動かす力がすごい…。

 

また身近に感じた聴覚障害者との体験などを思い出して書いてくれる方も。

 

・中学生の頃、ろう学校のバレーボール部と
対戦した時試合中の声が聞こえない状況なのにとても強かったし
私たちが考えているコミュニケーションとは違い
確立されたコミュニケーションを感じた。

・アルバイトで聴覚障害のあるお客さまに
接客することがありますが
いつもどう対応すべきか悩んでしまいます。
いつも健常者としか接しないからです。
ですが、今日の講義で、障害のある方も
障害のない人と同等に
「体験・楽しみ」を求めていることに気付きました。
アルバイト先ではまずは「ありがとう」の手話から伝えてみたいです。

・舞台の字幕グラス、テレビや映画の字幕について初めて知ることが多く、
とても嬉しかったです。
私の母も聴覚障害があり映画や舞台に誘っても気乗りしないのか、
一度も一緒に行ったことがありません。
こうしたものは「認知度を上げる」ことも重要だと思いました。
利用者がふえれば、マイノリティとされるものがみんなの普通につながります。
今日のことを母や周りの人に伝えていきたいです。

 

身近な肉親や友人、関わる方々を思いやることができる学生たちの優しさを感じます。
CMや映画の字幕等については留学生のコメントが多く目立ちました。

 

・私は留学生で、日本の映画館に行くと
洋画を選びます。邦画はほとんど字幕がないのでやはり分かりにくいです。
中国の映画はすべて字幕付きです。
方言が多いからかもしれません。
日本の映画も字幕をつけてほしいです。

・字幕のことはとても共感があります。
日本語がまだうまくないときに、映画館ではいつも字幕がある映画を選択します。
しかし日本では字幕がないのがほとんどです。
台湾と違って、台湾では台湾語、中国語、客象語などがあるので基本的に字幕があります。
このことからも私は、将来人に伝わるデザインをします。

 

テレビや映画の字幕は、聴覚障害者に対するバリアだと思われがちですが
今とても増えている留学生にとっても同様に感じていると分かったのは、
私にとっての「新たな視点」でした。

 

私が、聞こえる世界から聞こえない世界へについて語ることで
自分と重ね合わせ、今後どのように対応したらよいのか糸口を見いだせたようなコメントも。

・先生の話し方はとても明るくて笑いがあって元気になりました。
自分のトラウマについて考えていたときがあったので先生の話しをきいて
「まずは向き合うことが大切だな」と思いました。
そこから何が生まれるか分からないことを知るために
積極的に色々な人と関わり行動したいと思いました。

 

こうした学生のレポートや質疑応答、講義後のコミュニケーションの時間が私は大好きです。
双方向の対話を重ねることが安易に自己満足せず、常に学生にとって新たな視点や気付き、探求などにつながるよう、私自身も研鑚せねばと思うのです。f:id:karinmatasumori:20190713001039j:plainf:id:karinmatasumori:20190713001031j:plain