14年目の東洋大学人間デザイン学科講義はオンデマンドで

東洋大学人間デザイン学科「製品と情報のUD」。
14年目の今年はオンデマンド授業。スマホで自撮りです。
聴覚障害の立場から、これまで関わってきた公共施設、
エンターテインメント、子育てを通した地域とのつながりや
コロナ禍のコミュニケーションの困りごとと、覚えておきたい手話まで実体験を交えながら進めます。
双方向のやり取りができないため、業前に質問を受けてその回答を織り交ぜたり
授業後、約250人分のレポートすべてに目を通し、必要に応じてコメントを返すなどの工夫をしました。
学生からの感想としては
・「間」の取り方が心地良く、とても聞きやすいと感じました。
プレゼンの中でも「間」や表情だけでも、内容の伝わり方にかなり影響するため参考にしたいと思った。
・パワーポイントが全部見やすく、相手に伝えたい事を理解してもらうにはどうすれば良いのかを、いつも考えられているということをとても感じました。愛情をもって話されていて、本当に対面でお会いして講義を受けたかったです。
これだけでも十分嬉しい…涙
その他レポートから印象に残ったことを抜粋。
■コミュニケーションについて
・松森先生は、声、手話、表情、首をかしげたりと、全身を使って伝えようとしていた。先生を見ていると、健常者と話しているよりも気持ちがよく伝わった。いかに、伝えようとすることが大切であるかが分かった。手話が使えなくても、伝える方法はたくさんあることを知ったので、聴覚障害者とのコミュニケーションを難しく考えずに、積極的にコミュニケーションをとっていきたい。
・最近は目を合わさずに携帯など、ながらで喋ることが多い世の中だけれど、それはとても寂しいと私は感じるし、ちゃんと相手と向き合って喋ることがとても大切でもっとそういうコミュニケーションを大切にできる世の中にしたいと改めて強く感じました。
ユニバーサルデザインについて
・様々なテーマについて「初めて知った」ということは自分自身がそのようなこと
に目を向けられていなかったことの証拠でもある。「これらの不便さ、何とかなりませんかね?」という投げかけに今の私達のようにデザインを勉強している学生全員に知ってほしいと強く思いました。今ある問題をしっかり知ることが、問題解決につながる。いつもとは違う角度で物事や日常が見られました。
・人と話す時に目を見る、笑顔になるなどはみんなにとって大事なものなので、これも大切なユニバーサルデザインの一つと言えるのではないか。
■CMの字幕について
・今のCMは音での表現と速さ(疾走感)が強い。とにかく早口でそして突然始まり、突然終わるCMが多く、何の宣伝だったのか理解出来ずに終わっています。だから字幕があるほうが理解度も劇的に上がる。
・提案したいのは字幕背景の着せ替え機能。
恋愛系のストーリーの場合に乙女ゲームのような字幕の背景になったり、お菓子のCMの字幕背景がポップなものになったり、フォントを変えたり。字幕を補助機能ではなくエンターテイメントに変えるとそのCMはさらに魅力的になるだろう。
■ダイアログ・イン・サイレンスについて
・私が今回の講義で1番興味を持ったのは「ダイアログ・イン・サイレンス」である。今の社会の状況にぴったりな物だと感じた。
普段私は、表情や仕草も情報と取り入れながら、ほとんどは音声に頼って会話(意思疎通)をしている。そのためダイアログ・イン・サイレンスは難しそうだと感じた。同時に、顔の表情など見て感じる情報だけで意思を伝えられたら楽しそうだとも感じた。私の中では音が聞こえて、音声で会話をするのが「普通」であるが、この体験を通して、私の中の「普通」も変化するのでは無いかと考えた。
・「対話の森」行ってみたいと思いました。自分の知らない世界を知ってみたい、知る必要があると今回の授業で改めて感じました。
レポートの中で意外と多かったのが
■表情の大切さについて
・今回の講義を受けて一番印象に残った部分は松森先生の明るい表情です。
すごくイキイキと話されていたので、オンラインではあるけれど、授業を聞いていて楽しかったです。表情で伝えるということも大切だということを学びました。
・明るい表情や嬉しそうな表情で話せば相手にも感情が伝染し明るい気持ちになれたり、悲しい表情で話せば相手とその悲しみを分かち合えるのではないかと思います。
このような世の中の状況だからこそ明るい表情を心がけて生活していきたいです。
・表情の豊かさ、また会話の端々から聞き手を気遣ってくださる気持ちが感じられて、一方的にうれしい気持ちになった。伝えることの難しさや大切さを身をもって体験されているからこそ、自分が使うことのできるすべての技術をフル活用して”伝える”行為をしているのだと感じた。私は、話すときあまり口を動かさないし、身振りがなくなってしまったり、表情も豊かではないなと今回気づくことができた。そして、私ができていない表現を用いて話をする松森さんがキラキラと光って見えた。今回は聴覚障害というアプローチから気づかせていただいたが、これはどんな境遇の人でもできるべき伝達方法だと感じたので、私自身も今後意識して生活しようと思う。
・松森先生の姿を見た瞬間に「なんて素敵な表情なのだろうか」と感じ、引き込まれました。画面内の動画からですら伝わってくる輝き?と表現したら良いのでしょうか、、、輝いてました。きっと松森先生の目から一番何かが伝わっていた気がします。
 これはもう、ダイアログ・イン・サイレンス効果といっても過言ではなさそうです。
「今後の進路を決める上で重要なことを考えることが出来ました」という学生もおり
慣れない自撮りに何度もNG出しつつも、今年も講義を終えることができて良かったです。
担当の池田千登勢先生はガラス作家でもあり
自由なイマジネーションが素敵で今でもずっと憧れの先生です。
そんな先生のもとで学ぶ学生たちも、とっても素直で豊かで柔らかい。 

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