新潟時間

新潟で過ごす時間はクリエイティブだ。
南蛮海老の皮むきから、魚のウロコ取り、
焼き鳥用の肉を一本一本串に刺したり、
アサリの砂抜き、芋の皮むき
夕方から始まる「居酒屋舟宿」の下ごしらえはやること満載。
自宅療養の父も体調が良い時は厨房に立ち
良いリハビリになっているようです。

あくる日はお店の花壇に植える苗を見に行き
シシトウやハーブを植えたり。
とっても小さなスペースですが、
蕎麦屋でもらった蕎麦の種をまくとすぐに芽が出てくるし
イカやトマトの芽も自然とにょきにょき育っています。
小さなお店を大事にしている父と母の姿が好きです。

もともとクリエイティブなことが好きな父と母、
父の療養中、編み物やら紙粘土なども一緒に楽しみましたが
この時にホームセンターで足を止めたのは色とりどりの和紙コーナー。
薄さも模様も多種多様で美しく
しばし眺めて「張り子でもしてみようかね」と。
父と母と私、それぞれ気に入った和紙を選ぶ。
母ケーコが選んだのは漢文が綴られている渋い和紙。
「どうやって作るんだっけ?」
「のりと紙と風船じゃない?」
その場のノリで適当に材料購入。
まずは原型となる風船をふくらませる。
もう、ここでなかなか膨らまずに
「肺活量なさ過ぎ!」と笑えば笑うほど膨らまない。
次はふすま用のノリを水で溶いて、風船にべたべた新聞や和紙を貼っていく作業。
母ケーコが選んだ漢文の和紙、ちぎって貼っていたのですが
丸い風船一面に貼られたそれはどう見ても
「お経」…。
真剣な顔つきの母ケーコと、顔中にお経を書かれている耳なし芳一
シュールすぎる光景に父と二人で爆笑。
更に上から赤い和紙を重ね、ほんのり文字が透けて見えるようにしたいと
重ねていくのですが、重ねれば重ねるほど血のような色合いで
おどろおどろしいものに…。
母ケーコのセンス、やっぱり最強。

出来上がった赤や緑や白の球体を、ピンチハンガーでつるして乾燥。
まるでエイリアンの卵がぶら下がっているみたい。
翌日私は自宅に戻ることになったので、放置してきましたが
来週新潟に行ったときはどうなっているのやら。
耳なし芳一の中に豆電球を入れてランプシェードにしたら
美しいのか恐ろしいのか。