「一日目は万博、二日目はUSJね!」
そんな会話を交わしたのはいつ頃だったか。
自分たちの年齢も省みず、なんと無謀な計画でしょうか。
(しかも私はその後TDRの予約も入れていました)
さてさて私たちは、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」として
「いのちの遊び場クラゲ館」に少し関わりました。
クラゲ館内部の壁は「協奏タイルプロジェクト」といって
全国の教育機関等で、作成したタイルシートで作られています。
対話の森のメンバー達も、思い思いにモザイクタイルを作成したのです。
29名分の作品の壁を見にいかねば!
と集まったのが今回の4名。
色々とハンパない最強メンバーです。
よくよく調べると開場の10時目指すには、
朝4時起きで新幹線に乗らねばならない。
よくよく聞いたら1泊分の荷物を預けるロッカーなどはないそうで。
よくよく考えたら6月末は梅雨真っ最中で暑さも厳しい時期。
ここ数年どこに行ってもことごとく警報級の雨に降られ
「大雨女」のレッテルもらってる私。
ずぶ濡れもイヤですが暑いのも苦手なんです。
よくよく注意して、撥水加工のある洋服にしました。
しかも万博での体験に半日テレビの密着取材が入ることに。
きれいにしていかねば。ああ大変!
よくよく計画して事前にパビリオン抽選に臨んだものの全部ハズレ。
唯一予約がとれたのは「クラゲ館」のみ、
よくよく考えたら、クラゲ館は取材コースに入っているので
予約がなくても大丈夫なのでしたよ。大丈夫ですか私たち。
そんなこんなで当日6時過ぎ、無事に全員集合。
家を出るときはやはり豪雨でした。
新幹線の席を向かい合わせにして
よくよく寝坊せず集まれたと早朝からテンション高い宴会状態。
途中青空が見えてきて、奇跡だとはしゃいでいたのに
八代亜紀の歌の話題になり
「あめあめふれふれもっと降れ~」と歌いはじめたら
新幹線の外が一瞬で曇り、窓ガラスを叩きつけて流れる雨が。
あまりにも出来過ぎたタイミングに自分でも唖然。
「もう歌っちゃダメ!」と歌禁止令が出た。すみませんw
途中電車が停止して、少し遅れたものの
取材担当のTOKYOMXのキャスター田中陽南さんと合流。
一泊分の荷物やPCなども背負っている我々が向かう先はクロネコヤマト。
「荷物預けるならヤマトへ!」と
こっそり教えてくれたのは、関西のアクセシビリティ専門家ワタベヤスヨちゃん。
彼女はおそらく日本でいや世界で一番万博に通っている
難聴女子ではないか。
ほぼ毎日万博情報をFBでアップしている。
万博に通うために大阪に引っ越した万博おばあちゃんが
話題になってますが万博女子、というか万博名人ここにあり。
彼女に聞くと「道以外」は何でも教えてくれるのです。
困ったときは万博名人へ!
ヤマトのカウンターでは、
指差しコミュニケーションボードがありとても分かりやすい!全国のヤマト窓口で置いてほしい。
そんな折、万博名人から「大雨警報が出ています」とメッセージが届く。
もう何が起こってもおどろかない。
身軽になった私たち、傘を差しつつまずはクラゲ館で撮影ですが
カメラマンチームがトラブル発生でまだ入場できていないとのこと。
トラブルは旅の醍醐味です。
田中キャスターが急遽カメラマンに。
雨模様のお天気でしたが、カメラマンチームが合流すると晴天に。
「最強の晴れ男」なんだそうです。
私に勝ってくれるなんて、なんて頼もしい!
ずっと一緒にいてほしいですが撮影も終わり、
取材メンバーと別れるころ
再び傘を開くわたしたち…。
取材時の様子は、別の記事で紹介しておりますが
クラゲ館で、ジャンベというんですか?コンガかな?そんな
打楽器を、HEROと交互にリズムよく打ちたい私たち。
なのにどうしたってリズムが合わない私たち。
「この2人で餅つきしたら手が砕けるよね」と
エアで餅つきを始めてみたら
どうしたってHEROの手の上に杵をおろしてしまう私。
クラゲ館の中で必死にエア餅つきをして爆笑する我々、
カメラが回っていることすっかり忘れていました。ドリフか。
クラゲ館プロデューサーの中島さんと。
とにもかくにもビール補給せねばと、ビールを求めてウロウロ徘徊。
雨の中、20分ほど並んでビールゲット。
ぷはぁ~…。生き返る……。
生き返り、どうしょうもないことで爆笑しつつ生き返った我々が向かったのは
「いのちの動的平衡館」。
ここでは視覚障害者に対するバリアフリー音声ガイドや
聴覚障害者に対しては字幕と、触覚体験というアクセシビリティがあるとのこと。
知人が予約を取って下さったので、好意に甘えて体験しました。
暗闇の中で、無数のLEDが一斉に光り出し
細胞分裂や生命の誕生から進化を表現。
先ほどビールで生き返った自分の細胞を見ているかのようです。
触覚体験は2つの球体を手の平におさめて感じ取る方法。
まず球体というデバイスが、新鮮。
程よい重みがあり、微細な振動からゾウがズシンズシンと歩くような
ダイナミックな振動まで感じられて不思議です。
「命とは繋いでいくもの」だと感じさせてくれる体験。
なのに、途中うっかり球体を落としそうになる私。
最後の映像には英語と日本語の字幕も。
見えない人や聞こえない人へのアクセシビリティが
最初から整備されているパビリオンって、いいですね。
アフリカンダイニングで腹ごしらえし
再び生き返った私たちは中東を感じる建物の「サウジアラビア館」へ。
映像には日本語の字幕があり、各部屋の入口のテーマに
点字表記もありました。
「中国館」は伝統的な書道の巻物を広げた形の外観。
巨大スクリーンの迫力ハンパない。形も円形や曲線など多様。
映像にはすべて日本語の字幕もあり
二次元コードで音声ガイドが聞けるシステムも。
緩やかなスロープなどバリアフリー設計もいい。
中国から出たころ、なんと仕事を終えた万博名人ワタベ氏登場!
一つも予約が取れなかった我々に強力な助っ人現る。
ここからは名人おススメの「ポルトガル館」へ。
隈研吾さん設計で、漁で使うロープがぶらぶら垂れさがる不思議なデザイン。
ポルトガル語が由来となっている日本語
オルガン、マルメロ、アルコールなどを声で紹介する映像の
唇の動きがエモい。
海の視点から人類へのメッセージ映像は、没入型の巨大スクリーンで
ここでも英語、ポルトガル語、日本語の字幕がありました。
鑑賞後は思わず拍手をしてしまったほど。
日本人には作れなさそうな強めのメッセージ演出。
まるで、障害の個人モデルの視点から、社会モデルの視点へと
発想の転換を促すメッセージにも重なっていて、
万博名人が勧めてくれた理由が分かります。
これから行く方はぜひポルトガルへ!
お次は名人も初の「カナダ館」。
外国のパビリオンは、スタッフも現地の方なのですが
聞こえないことを伝えると、「こんにちは」「ここでお待ちください」
「ありがとう」など日本のカタコト手話で伝えてくれるのです。
カナダのスタッフなのに、日本の手話ってコミュニケーションレベル高っ!
ここでは、ちりとりの様な形状のタブレットを氷河にかざすと
ARでダイナミックな風景が映し出されます。
映像が出るときにはブルブルッと震えて教えてくれる。
うまくできないと、すぐスタッフが来て気さくに助けてくれる。
入り口では、写真はNGと書かれていたのですが
出口でタブレットの写真とってもいい?と
身振りで尋ねると「オッケーオッケー!中でとっていいよ!」って感じで
もう一回中に入れと促してくれました。
ここでも「ありがとう」手話(日本の)が出てくるし
どんな研修受けてきたんだろう、カナダ館のスタッフの皆さん。
夕暮れも美しい。
名人も大満足でお次は「フランス館」
フランス館のテーマは「愛の賛歌」
展示には二次元コードがあり、作品の説明をテキストと写真で見ることができる。
明るく輝くルイ・ヴィトンの技を伝える展示は
85個ものトランクが圧巻。
ディオールの展示は真っ白な空間の中に
ミニチュアから実物大まで真っ白なドレスがざっと並ぶセンス。
ロダンの彫刻も点在しており、静と動、光と影、自然と人間、職人技とテクノロジーなど
あらゆる対話を感じられる展示でした。
「美しいものを生み出すための執念」とでもいうのでしょうか。
うっとり大満足で出ると、外は真っ暗。
ここで帰りのバスの時間が迫る名人とはお別れです。
万博名人ワタベ氏のおかげで充実した万博時間を過ごせました!
繰り返します。
万博のアクセシビリティについて知りたかったらワタベ名人に聞け。
この後は、19時45分からのドローンショーを見る予定です。
せっかくだから大屋根リングに上がって見よう!ということでまた歩き続ける私たち。
どこへ行けば見えるかな。
リングにあがって警備員さんにたずねてみる。
リングにあがってってプロレスじゃないんだから。
ふざけている私たちに警備員さん、まさかの一言。
「ドローンショーはもう終わりましたよ!」
「え」
「え!」
「えー!?」
リングの上でなんて間抜けな叫び声と爆笑。
時間をまちがえていたようです。
あの迫力ある1,000機以上のドローンショー楽しみにしていたのに。
雨もやみ、ちょっと涼しくなったリングの上から万博の夜景を臨む。
なんだかんだで目一杯遊び尽くしました。
その夜はホテルに戻り、ビールやワインを買い込んで乾杯して生き返り。
爆笑の振返りタイムで気がづけば深夜1時過ぎ。
翌日はUSJ……体力…!
大阪万博2回目でしたが、今回もやっぱり思ったのは
働くスタッフの皆さんがとても楽しそうなこと。
こちらが聞こえないことを伝えると
カタコトの手話であたふたしつつも笑顔で
「お気をつけていってらっしゃいませ」と送り出してくれるのです。
外国のパビリオンの外国人スタッフでさえも
日本の手話で対応してくれるコミュニケーション力の高さ。
とてもフレンドリー。
関東と関西の違いなのか、あるいはたまたまなのか
あるいは万博という多様な国が集まっている特性なのか
デフリンピックを迎える東京都でも、こうであってほしいな。
外国のパビリオンの映像には必ず英語字幕とともに日本語の字幕があります。
当たり前のようなことなのですが
実は日本で作られた映像には日本語の字幕がないこともしばしば。(万博内は全てチェックできていないので分かりませんが)
音声が日本語だから不要、ではなく
聞こえない人もいることを忘れないで欲しい。
万博内では「テキストアナウンス」というサービスがあり
二次元コードで、万博内の音声アナウンスがすべて
リアルタイムで文字で見られるようになっています。
こうした技術を、万博内だけでなく
「社会のインフラ」として
「持続可能な仕組み」として
いつでもどこでもだれでも享受できるようにしていく必要があります。
万博やデフリンピックの間だけの一過性の盛り上がりにすることなく、
その後どんな社会になっていたいか、
それを実現させることが万博やデフリンピックの
レガシーにもなるのではないでしょうか。
そうして私たちの爆笑しっぱなしの旅の夜は更け
猛暑のUSJへと続くのでした。
つ……づくのか否か、、