当事者参加型の成田空港のUD

「十分な議論なくして進めない。」
これが成田空港のユニバーサルデザイン



昨年五月、様々な障害当事者、有識者、空港関係者などで構成された
「成田空港UD推進委員会」が設置され
基本計画策定分科会の委員として私も関わってきました。
2017年5月から11月まで13回の分科会、
その後も定期的に細かな取り組み別ミーティングを開催していますが
4月17日「成田空港ユニバーサルデザイン基本計画」がプレスリリースされました。
それに基づいて2020までに実施する具体的な取り組み(別紙2)も公開されています。
https://www.naa.jp/jp/20180417-UniversalDesign.pdf


特徴としては
これまであまり配慮されてこなかった発達障害への対応を
他空港に先駆けて実施していることや
人的支援の充実、緊急時対応を重要視していることです。



冒頭の言葉は、プレスリリース後に開催されたミーティングを
はじめるときの委員長の言葉です。
この言葉に深くうなづいた私です。


毎回テーマごとに、多様な立場から、多様な意見や要望が出ます。
時には、ニーズとニーズのぶつかり合い、バリアとバリアのぶつかり合いもあります。
でもこれは正常なことです。
だって多様な立場の人たちが参加しているのですから。
こうして十分に議論を繰り返し、様々な根拠をもとにして
納得できる着地点に歩み寄る作業の繰り返しです。
空港関係者の事務局は、毎回この作業をとても丁寧におこないます。
時間はかかりますが、信頼関係が築かれていきます。
この「当事者参加型のプロセス」がユニバーサルデザインには欠かせません。


目的はただ一つ。
「多様なお客様が安全・安心・快適に利用できる空港」です。
障害があってもなくても、どんな人でも旅行が楽しめる社会にしたいですよね。


2020にむけて、スピードと効率だけを求めがちな今
成田空港のようにじっくりと腰を据えて着実に議論を積み重ねていく、
そんな仕事がとても貴重だと思えるのです。