『Le Fils 息子』ポータブル字幕機とヒアリングループで鑑賞

『Le Fils 息子』は岡本健一さんと息子の圭人さんの共演。
岡本健一さんと言えば男闘呼組
私がまだ聞こえていた中学生のとき、男闘呼組のコンサートが
群馬で開かれると知り、友人と一緒に鈍行を乗り継いで行ったのでした。
それが私のコンサート初体験。本当は光GENJIのほうが好きだったのですが。

あれから30数年、年相応に渋くてカッコよい岡本さんの舞台を字幕で見られる!
先着10名まで!
すぐに友人誘って
「ポータブル字幕機とヒアリングループ席」で予約をとったのでした。


今回東京芸術劇場での上演だったのですが
「障害をお持ちのお客さまのための鑑賞サポート対象公演」ということで

1.聴覚に障害のあるお客様のためのポータブル字幕機提供サービス(とヒアリングループ)

2.視覚に障害のあるお客様のための舞台説明会

とがあり、どちらも一日限定、10名まででした。


ここで少し説明すると
「ポータブル字幕機」は、専用のスマホに字幕を表示するものです。
客席のひじ掛けにスマホスタンドが装着してあり、自分で位置を調整します。
字幕は、バリアフリー字幕なのでお芝居のセリフのほか、効果音、
音楽の情報(“悲しげなピアノのメロディー“など)を
タイミングよく表示してくれます。

周囲からは画面が暗く見えるよう、遮光フィルムがはってあり
黒い背景に白抜き文字で眩しくなく、文字の大きさも見やすかったです。

ヒアリングループ」とは、音を磁気に変え、
その磁気を補聴器や人工内耳に直接届けることができるので、
雑音などが入らずクリアに聞こえるというものです。

私の場合は補聴器をつけていてもクリアには聞き取れないのですが、
音の輪郭を感じとることができます。


受付には、耳マークや、筆談用具が準備してあり
手話通訳者や手話で対応できるスタッフもおりました。
字幕機の使い方についての、分かりやすい資料もあり
とても丁寧な説明と対応です。

客席が暗くなり、「まもなく開演いたします」という字幕が。ドキドキ。
岡本健一さん見たさで来たので、どのような内容かはあまり知らず。
お芝居が始まり、人生二度目の生で観る岡本健一さん。
まさかまさかのシリアスな内容に、
ミーハー精神丸出しで来たことを至極反省しました。

フランスの作品で、劇中の名前も父親はピエール、息子は二コラ。
両親の離婚後、思春期の絶望と不安に苛まれながら、
生きることを模索する息子二コラを
愛によって救おうとする父親ピエールの物語。

でも、愛だけでは救うことができない苦悩を
言葉を超えて全身全霊で表現する岡本さんの凄みに圧倒されました。
あまりにも悲劇的な終わり方に幕を閉じた後はしばし動けず。

直後のカーテンコールでも岡本さんは苦悩の感情を残した表情のまま、
あのやるせない感情を演じるって、
とてつもないエネルギーを放出することではと
色んな想いが渦巻く終演後でした。


私が鑑賞したのは『Le Fils 息子』ですが
母の視点で描かれた『La Mère 母』も同時上演しており
鏡合わせのようになっているようです。母も観たかった…。

www.geigeki.jp

https://www.geigeki.jp/performance/theater359/

こんな感情を体感できたのも、
字幕という形でリアルタイムで内容が理解できたからこそ。

とても価値ある豊かな時間だったと思う。
こうした文化的な楽しみを、すべての人が共有できるように
あらゆる手段で環境整備をしていく必要があると、改めて感じました。
今回は、上演期間中の1日10席限定でしたが
今後は観たい時にいつでも観られるのを当たり前にしていきたいですね。

共感してくださった方、ぜひこちらもご覧ください。
2025年の帝国劇場建て替えに際し、
観劇経験のある障害当事者の声を聞き
みんなで楽しめる劇場を作ってください、というものです。

《#劇場をアクセシブルに!署名活動にご協力ください》

https://t.co/dI6tDGEB4q

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