第29回内閣府障害者政策委員会

第29回内閣府障害者政策委員会が終了しました。
二年間の任期最後の委員会です。


冒頭で石川委員長から、津久井やまゆり園の被害者や家族、関係者等にむけた言葉と、
重大事案として今後も政策委員会で取り組むという発言がありました。
そして、亡くなられた19名一人一人の、性別と年齢が読み上げられて、
会場にいた全員が黙祷しました。
涙が込み上げそうになる時間、
凄惨な事件の動揺が収まらない中開かれた政策委員会です。



今回の議題は下記三つ。
1、障害者権利条約政府報告について
2、障害者差別解消法の施行について
3、持続可能な開発目標(SDGs)について


1、国連の障害者権利条約を批准して2年、6月末に
初めての政府報告が出されました。
今後は国連の権利委員会が審査をし、勧告が出されます。
それを受けて国内施策の改善につなげ、また報告…とスパイラルアップが図られていきます。
ただ、現在政府報告を出しているのは166か国。
そのうち、審査が終わっているのは40か国なので
日本の審査が終わるまでには数年かかるとか。


2、障害者差別解消法が施行され
内閣府で行っている研修の紹介や地域フォーラムの計画や
地域協議会の設置状況の報告と、
北海道と浦安市の取組紹介がありました。


3、持続可能な開発目標(SDGs)は
2016年〜2030年までに達成する全世界の目標という位置づけで
発展途上国の開発から障害者の問題、ジェンダーの問題など
全部で17の目標が設定されています。
国連という国際政治の場での目標であり、
理念は「誰一人取り残さない」ことだそうです。


政策委員会の資料としては、17の目標の中から
「障害者」に関係する記述のみ抜粋されていました。


しかし、SDGsを調べていくと
目標の5番目は「男女平等と女性、少女のエンパワーメント」で
8つの項目全てをジェンダー問題に割いていることが分かりました。
例えば、女性、少女に対する差別、暴力の撤廃、労働や家事から
エンパワーメントに繋がる情報技術の利用促進などです。


そこで、私からの要望として
これらはすべて障害女性の複合的差別とも密接に関連するので、
今後の資料では目標5の内容が分かるように追加してほしいこと。
そのうえで、この目標5に対応した議論もできるように、
ジェンダー統計をあらゆる分野で把握し、
政策委員会の中で議論の時間をつくってほしい。

とお願いをしました。
三期へと引き継がれていけばと思います。


最後に、各委員から一言述べる時間が設けられました。
二年間を振り返り、責任の重さを感じひたすら勉強をした有意義な時間でした。
重圧とストレスから過呼吸が続くこともありました。
自分の力不足や、未熟さを実感し
その都度、周囲の方々にアドバイスや協力を頂き
支えてくださった方々には感謝の気持ちしかありません。


政策委員会を通して感じたのは、
これまでの政策では女性や母親、子どもの視点が少ないという事です。
これまでどちらかというと男性目線ですすめられてきた政策に
少しでも障害のある女性、母親、子どもといった視点の議論を
盛り込むことができればと、一生懸命取り組んできました。
昨年、第24回政策委員会で「障害のある女性」の視点で
発言する時間を頂いたのは、貴重な機会でした。
<第24回障害者政策委員会>
http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20150814


障害があってもなくても、生まれてくる子どもたちは祝福され
育てることができる支援や環境整備が必要です。
これらは法律、計画、政策ともに課題として明記し
具体的に取組まねばならないことです。

そして、ひとりひとりがかけがえのない存在として大切にされる
インクルーシブな社会にしていかなくてはなりません。
今後は、政策委員会で学んだことを
身近なところから分かりやすい言葉で、講演などを通して
発信していきたいと思っています。


障害者政策委員会は、今後も継続して開かれますので
注目していきたいと思います。
内閣府障害者政策委員会
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/index.html#iinkai