「カレーライスを一から作る」字幕モニター

映画の字幕モニターの仕事はやっぱり面白い!
今回の映画は「カレーライスを一から作る」。
誰でもカンタンに作れるカレーを、9か月かけて作る!ってどういうこと??
カレーライスができるまでの全記録映画です。


私たちは意外と身の回りのものの原点を知らない。
スーパーで売られている肉や魚の切り身がもともとどんな形だったのか考えることはあまりない。
ニンジンの種はどんな形で、どんなふうに育っていくのか
塩やスパイスってどうやってできるのか、詳しくなくてもそれなりに生活できる。
でも本当にそれでいいのか?
「食べること」ってなんだ?
「生きること」ってなんだ?
そんな根本的な問いかけを突き付けられる映画です。


武蔵野美術大学の「関野ゼミ」で、学生とともに
米、肉、野菜、スパイスすべてを一から育ててカレーを作るという課外ゼミのドキュメンタリー。
関野先生とは、アフリカから南米までの人類拡散の道のり「グレートジャーニー」を逆ルートでたどった探検家・関野吉晴氏。
食べ物だけでなく、お皿までも作っちゃう。
育てた鳥は、学生自身が首を切り落とす。
学生たちの葛藤、困惑、気持ちの揺れとぶつかり合いが
前田亜紀さんという女性監督の目を通して丁寧に紡がれていきます。


そんな映画の字幕モニターのきっかけは
友人であり仕事でもお世話になっているジョーこと宮城教育大学の松崎丈先生。
「高校時代の同級生が初監督作品として発表した映画に字幕を付けたいというので一緒にモニターしてもらえないか?」とのお誘い。
場所は、UDCastをはじめ、あらゆるコンテンツへの字幕や音声制作を手掛けているPalabra株式会社。
http://palabra-i.co.jp/


約10年ぶりに再会するという二人のなれそめ、いや高校時代の青春の思い出話を聞きながら、はじまった上映会ですが
思い切り魂を揺さぶられました。
先ほどまでの爽やか空気はどこへやら。
観終わった後は、しばらく放心し言葉も出ませんでした。
字幕制作や字幕モニターの仕事は一視聴者としての目線はもちろんのこと、
監督の思いも丁寧に聞きながら進めていきます。
テレビの字幕は、文字数や表現方法、記号など細かい規定があるのですが
映画のバリアフリー字幕は、まだ細かな規定がなく
自由度が高いのでいろんな可能性を感じます。準備ができ次第、字幕上映ができるので上映に協力してくださる劇場を募集中とのことです。
子どもから大人まで、教育関係者や食べ物に関わる方まで幅広くおススメできる作品です。
「目の前にあるものを、もっとしっかり見なくては」と改めて思う年の暮れ。


カレーライスを一から作る」公式HP
http://www.ichikaracurry.com/