「対話の森」にピアノがやってきた

「対話の森」にピアノがやってきた。
それも大きなグランドピアノ。
しかも秦万里子さんからギフトだという。
 
研修の合間に見えないアテンドたちと、手の平に文字を書いたり
手話表現を触って話をしていると
ガラス張りのエントランスの外に、「ピアノ屋」という文字のトラックが止まった。
ドアをいっぱいにあけると、解体されたピアノが縦になって運ばれてきた。
マッチョな業者がピアノの脚を合体し、ねじで固定していく。

一本、二本、三本。

「ああそうか、ピアノの脚って三本なんだ!!」

思わずつぶやいたら、見えないアテンドが笑ってた。
当たり前のことだけど、改めて直視するとなんだか不思議。
そんな一連の作業を、ワクワクしながら眺めていたら
秦万里子さんがいらっしゃった。
テレビで見ていた憧れの秦万里子さんが。
たちまち即興演奏が。
隣の見えないアテンドが「とっても素敵なメロディ」だと教えてくれる。

もっと音を感じたくてピアノに触れる。
ピアノの横、上蓋、つっかえ棒。
響きとなり手のひらから伝わってくる。
ピアノの中に手を入れて音を感じている聞こえないアテンドを見て
私はおそるおそる頭を入れてみた。
上蓋と弦の間の三角スペースに。

 うわあ!!!!!!!!

 音のシャワーをあちこちから浴びているみたい。
斜めに開いた蓋の内側に、あたった音が反響し、共鳴し
まるで音のさざ波の中に頭を入れたみたい。
音は空気。
空気が揺らぎ、響くと、それは私たちの耳だけでなく
肌にも髪の毛にもまつ毛にさえも触れる。

そうやって音楽をとらえることをなんと表現すればよいのか。

音を「聞く」でもなく「聴く」でもなく
「感く(きく)」というのか。

 ダイアログ・イン・サイレンスに関わって4年。
自分の身体の感覚が少しずつ拡がる実感は面白い。
「身体感覚の拡張」。

感じる力を制限することなくひらいていくと
「音のある世界」とのつながり方も、楽しみ方も
そしてその関係性までもが無限に広がる。
見えるとか見えないとか
聞こえるとか聞こえないとか
できるとかできないとか
もうそんな次元を超えた様々な感覚や感性の人が交ざり合う場所。

それが、ダイアログミュージアム「対話の森」。

https://taiwanomori.dialogue.or.jp/

 8月23日、コロナ感染対策を万全にしてオープンします。
応援してくださるすべての方々へ感謝の気持ちをこめて。
チケット販売も始まりました。

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