銀座のアナ

銀座にはたくさんの落とし穴がある。
第一にあげたいのは四丁目の数寄屋橋交差点。
以前、打ち合わせの帰りにスーツ姿で横断歩道を闊歩していたら、突然ガクンッという衝撃とともに右足が動かなくなった。
ヒールの先が、マンホールの小さな穴にすっぽりとはまってしまったのだ。
足を引っ張ってみても抜けない。

なんでこんなとこにマンホールがあるのよ!?しかも四丁目の交差点!

そうこうする内に青信号は点滅。
やばいぞこれは!!
びくともしない右足のパンプスを脱ぎ、マンホールにはまったパンプスを引っ張る。
まるで、童話の「大きなかぶ」。

パンプスを私が引っ張って、うんとこしょーどっこいしょ。
「まだまだかぶは抜けません」

片足裸足で一人奮闘していると、数寄屋橋交番のおまわりさんが気づいてくれたようで、すぐに駆けつけてくれた。

パンプスを私が引っ張って、私をおまわりさんが引っ張って、うんとこしょーどっこいしょ!

信号が赤に変わり、車が走り出そうとするころ、

「とうとうかぶはぬけました」

パンプスを無事救出!
片足裸足でおまわりさんとともに慌てて横断歩道を渡りきる私。
人が大勢歩くところに落とし穴を作らないでほしい。


そして先日。
銀座へ行った帰り、またもやあの衝撃が!
今度は七丁目あたりだ。
ガクンッ!という衝撃とともに感じるのが「ガリリッ」といういやーな響き。
そう、パンプスのヒールが傷つく音。

「またか・・・」

一人パンプスを脱いでしゃがみこみ、傷が大きくならないようにそーっと力を入れて抜く。
おろしたてのパンプスだったのに…!

何でこんなに銀座はマンホールが多いのだろうか。
きっと今日も銀座のアナに落ちている女性がいるはずだ。
恐るべし銀座の罠。