寝言もうわごとも手話

ついにきた、
インフルエンザA型。
急な発熱に節々が痛いと訴える息子のソラ。
周囲ではやっているとは聞いていたが、まだ冬も始まったばかりなのに!
夜になると、熱は40度を越し、
ついに、
初めて見た、

「41度!」

思わず聞いてしまった。
「大丈夫?自分の名前分かる?今日は何月何日?」
正式な返答だった。

しばらく身体をさすってあげても、熱の高さと身体の痛みから寝たり起きたりとかなり辛そう。
眠りにおちたかなーと思うと突然むくりと起き出し、布団をめくって何かを探し始めた。
がたがたと震える手で、敷布団、シーツと順番にめくりながらうつろな目で何かを探しているのだ。
「どうしたの?なにかさがしているの?」尋ねると、
「食べ物。」
布団の中やシーツの下には見つからなかったらしく、今度は私がたたんだばかりの洗濯物を一枚一枚めくりながら、さがし始めた。
そんなところに食べ物が?!
熱のためか、かなり寝ぼけている様子。
「……そうか、食べ物か。おなかすいた?お水飲む?」
「いらない。」

たたんだ洗濯物に、息子の靴下があった。
それを手に取って、はくのかと思いきや一つ一つ裏返し始めたのだ。
寝ぼけ、というよりもこれが噂の不審行動?!
一抹の不安がよぎったが、今回処方してもらった薬は不審行動を引き起こすといわれていたタミフルではない。
裏返した靴下を、片方自分ではき始めて、もう片方は私にくれた。
「はかせてあげようか?」と聞くと
「いいの。いいの!」と辛そうな顔で私に押し付ける。仕方なく私も息子の靴下を裏返った状態で片方はいた。
母子二人、裏返った靴下を片方ずつはいて添い寝する夜……

その後も、寝ているのに突然
「やりにくい!!」と寝言でうわごと。
そうかと思えば
「ブルルルルル」
と、私の携帯メールが入ったことを教えてくれる。もちろん夢の中のことだから、実際にはメールなんかきていないが、教えてくれるのだ。

ちなみに、これらの寝言うわごとはすべて手話。
普通のたわごとや寝言はもちろん、熱にうなされて辛いときでもうわごとも、半目状態で手話のソラ。

さすがというかなんというか。

他の人から見れば、「すごいねー寝言も手話!」と思うかもしれないが、
でもこれが普通の光景なのだ、我が家では。