凄い迫力

「強いアルコールだったね!」


映画が終わって、不意に彼女は言った。
(どきっ!もしかして私グースカ寝てたのバレてた?)
「う、うん、ちょっと強かったよね!寝ちゃってゴメンね!ジュースにしとくんだったわ!」
「ん?あ、寝てたの?気づかなかったよ!笑」
一見かみ合っている会話。


だが実は違った。
先日、友人に誘われて映画を観に行った。
「プレミアムシートの招待券が三枚もある」とのこと、久しぶりに六本木ヒルズへ。
上映前にはラウンジでくつろぎ、サービスのスパークリングワイン片手に鑑賞。
以前、ブログにも書いたが映画館でのアルコールは絶対寝てしまう私。
とはいえ、ほかの二人が飲むのに私だけジュースもおかしい。
映画は、話題のアクション大作「バトルシップ」。
巨大なエイリアンの母船と、地球人が壮絶なバトルを繰り広げる中、私は時々夢の中。


そうして映画が終わり、彼女が興奮気味に話したのが冒頭のセリフ。
彼女は手話の勉強を始めたばかりなので、手よりも口の形をはっきりと話してくれる。
私が寝ていたのを見て、「強いアルコールだったね」とフォローしてくれたのだと思いきや、彼女が言ったのは



「凄い迫力だったね!」と。



私と彼女のやり取りを見ていたもうひとりの友人(聴者)、爆笑していた。
たしかに!
強いアルコール!
凄い迫力!



いやぁ、見事に口の形がかぶってます!!
微妙にかみ合っているんだか、かみ合っていないんだか分からない会話がしばらく続いた。
久々の読み取り間違いヒット。



そして、その後も続く、読み取り間違い選手権。


デザイナーをやっている彼女、歩きながら、不意にいう。



「知ってる?東京のサラリーマン、この近くだよ」




え?なんて??
とうきょうのサラリーマン??
だれ??




美術館に詳しい彼女が言いたかったのは、


「知ってる?TOTOのギャラリーは、この近くだよ!」



TOTOのギャラリーは!
東京のサラリーマン!
口パクでやってみてほしい。こちらも似てる!

ちなみにこちらがTOTOギャラリー「間」
http://www.toto.co.jp/gallerma/



あまりの可笑しさに、本来の話なんてぶっ飛んでしまう誤読唇。
そういえば、別の友人は


「神のみぞ知る」と


カニの味噌汁」を誤読唇。

どんな話の流れだったのか分からないが、凄い迫力。