地域還元型学校、シルバー大学校

karinmatasumori2013-04-21

「起立」
「礼」
「着席」

こんな基本的な挨拶と一つ一つの動作が、とても美しいと思える学校があります。
それは栃木県の「シルバー大学校」。
「高齢者の健やかで生きがいのある人生を支援し、活力ある地域社会を築くため、
積極的に地域活動を実践する高齢者の方々を養成する」
という目的のもとに、60歳以上の生徒さんが学ぶ学校です。
栃木県内三つの地域にあり、それぞれ定員は120名〜160名。
毎年希望者が多く、抽選になることも多いくらいの人気校なのです。

一年次には、地域活動に必要な基礎知識のほか
スポーツ・レクリエーション、健康づくりや介護予防、福祉サービス、自然体験活動や伝承遊びなどを学びます。
二年次には希望する専門科目をより深く学び、
卒業後は地域での社会活動やボランティア活動などに活かしていくのです。
地域還元型大学、とでもいうのでしょうか。
サークル活動も活発で、テニスやダンス、写真や絵画、短歌や俳句、陶芸など全部で16くらいあるとか。
みなさんとってもパワフル!


私は、基礎知識としてバリアフリーユニバーサルデザインを知ってもらう授業を担当しています。
身近な製品の事例から、公共施設の事例紹介、ボランティアなどの社会活動の紹介まで。
自分の失聴体験も交えて、二時間の授業です。
授業とはいえ、生徒の皆さんは私の両親や祖父母と同じ年代の方々です。
沢山の社会経験と、豊かな人生経験を重ねてこられた方々ばかりなのです。
そんな方々が、私の話を聞いて、涙を流したり、笑ったり、おしゃべりをしてくれるというのは、とても温かで豊かな時間なのです。
私よりもはるかに人生の大先輩なのに、
「”聞こえない”ことに関しては我々の大先輩!」だとおっしゃってくださる方もいたりして!


ときどき感想レポートを見せてもらったり、お手紙を頂いたりします。
ちょっと恥ずかしいのですが嬉しかった声を紹介。



・われわれ聞こえる人には到底理解しえない日常やこれまでの生活の話は、実感がこもっていて身に染みた。
・自分の経験をもとに、ユニバーサルデザインへの提案・提言を行い、それをライフワークにしているところが素晴らしい。
・こうした授業を受けることにより、自分の人生も変わるであろうと思う。
・加齢に伴い我々も難聴になるので、とても参考になった。
・講師が楽しみながら授業を進めているため、生徒も楽しくなる



様々な場所での講演や講義は、一つとして同じものはなく
終わった後はいつも、一人反省会です。
あそこはこうするべきだった!とか、あれはいらなかったなーとか。
でも、アンケートや感想でこんな言葉をもらうと本当に嬉しく励みになります。
なかには、「もっと手話を楽しむ時間を増やしてほしい」という積極的な声もあるので
年々、手話の時間も増やしています。


こんなふうに続けてきて、もう何年目になるのでしょうか?(思い出せず…)
何しろ、一つの学校で100人以上いますので、その中にはかつて手話を学んでいた方もいたりして、そんな方が
「卒業後に私の講義で手話通訳をしたい」と申し出てくれる方もいるのです。
今年は、矢板市にある北校で、昨年の生徒さん三人が授業のお手伝いをしてくださるとのこと。
お会いしてみたら、手話で自己紹介をしてくれました。
そして、
「昨年の果林先生の授業を受けて、”手話リンガルすみれ会”というサークルを作りました!」と嬉しい報告をしてくださったのです。
メンバーは16名もいると、“手話リンガルすみれ会”の連絡網や、スケジュール表、テキストなどを見せてくれました。
なんて嬉しいことでしょう。
今年でちょうど一年、「覚えられないね〜!」と言いつつ楽しみながら続けることがボケ防止になる!と。笑
今年の講義終了後には、興味をもった生徒さんが早速入会していたようです。
来年も続いているといいなぁ。と、今から一年後が楽しみ。
私も20数年後には、シルバー大学校に入りたい。


シルバー大学校については、過去にもブログで紹介しております。
2008-06-05 麦秋の季節、シルバー大学で
http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20080605
★2009-06-16 麦秋の季節、シルバー大学校で。2009
http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20090616

七月には宇都宮市にある中央校で講義があるので、こちらもまたワクワクです。