紫陽花で埋め尽くされた空港

f:id:karinmatasumori:20190623213835j:plain
まぁるい手鞠のような紫陽花がたくさん。
羽田空港国際線ターミナル
紫陽花って種類がたくさんあるのね。
今月は仕事で週2~3日は空港にいますが
仕事の合間にじっくりと愛でる幸せ。
四季を感じられる空港って素敵。
よーく見ると真ん中のまぁるいの、和菓子みたいで可愛いくって美味しそう。
f:id:karinmatasumori:20190623213944j:plain
もちろん食べたりしませんよ!だって紫陽花には毒があるもの(^^)
f:id:karinmatasumori:20190618142602j:plain
f:id:karinmatasumori:20190622213209j:plain
f:id:karinmatasumori:20190623213735j:plain

「ことばの交換」は引出しを増やしカラフルにする

f:id:karinmatasumori:20190618103241j:plain

「間(ま)」の大切さを教えてくれた人、村上信夫さん。
自撮りにはまっていると86センチの腕を伸ばす。

5年ぶりにお会いしましたが、あったか笑顔でコミュニケーションをうんと楽しんでくださる方です。
前回は筆談中心でしたが今は音声認識UDトークという最強アイテムが。
お店など周囲が騒がしい場では認識率が低くなりますが、
さすがはNHKアナウンサー。認識率抜群。

時々誤変換がでてくると

「アナウンサーとしての村上が試されている気がする」
「コラ!そんなこと言ってない」
とUDトークにツッコミつつ(このツッコミも当然認識されるわけで)
何かの拍子に誤変換された言葉がこちら。

 

「ずぶい」。

 

ずぶいって!個人的に「ずぶい」ツボで
「新しい言葉も生みだすUDトークすごい!」と爆笑。
ところが先ほどググってみたらなんと存在する言葉。

競馬用語で、

「騎手の指示に対する反応が鈍く、自ら走ろうという意思に欠ける競争馬の性格」をいうのだとか。
わたしのこと?!
当たらずと雖も遠からず。
しばらく流行りそう。

 f:id:karinmatasumori:20190618103312j:plain

こうして音声認識を使いながらも
もともとメモをとる習慣のある村上さんは筆談も活用し
全国で展開している「ことば磨き塾」の話や、
「うれしい言葉」のきっかけ
「対話とは何か」
「沈黙の向こうには豊かな森が広がっている」ことなどなど話題は尽きず。

 

お互いの年齢を話しながら
「村上さんと私を合わせたらちょうど100歳ですね!」と言うと
「110歳だよ!」と。
さすが「うれしい言葉のシャワー」を意識している人は頭の回転も早いのです。(←数字弱いネと更なるツッコミ)

 

聞こえない私が初めてラジオに出たのが平成18年。
村上信夫さんの「わくわくラジオ」。
ラジオとはタイムリーなやりとりが中心。

手話通訳をしてもらっている間の「間(ま)」やタイムラグが心配だという私に

「間は大切。むしろあったほうがいい。
間があると話を理解しやすくなるし、リスナーは
次はどんな言葉が出てくるんだろうともっと耳をかたむけたくなるから。」

 

若かった私にとっては、その後の講演人生を変えるほどの大きな学びでした。
あがり症、早口、緊張すると真っ白の私でしたが、
村上さんからの言葉で、少しずつ話し方や講演の仕方も変わってきたように思います。
今では私自身も、お客さまを見つめ
呼吸をすることで「間(ま)」を心地よく思えるようになったからです。

講演に何度も来てくださる方から
「あなたの笑い声と、そして何よりも間(ま)がいい。」
そう言われたときは、本当にうれしかったものです。

 

言葉を武器とせず、大切に慈しむ人との「ことばの交換」は
ことばの引き出しを増やすだけでなく
いろんな形になったり、カラフルになったり、いい匂いの引き出しが増えたり
シャボン玉が出てきたり、音楽が聞こえたり
引出しの中に引出しを発見したり、異次元につながっていたりと
不思議の国のアリスの世界のような時間。

 

わたしは笑いすぎ、むせて呼吸ができなくなり
それこそもう、笑うことも命がけに。

f:id:karinmatasumori:20190618103251j:plain

村上信夫さんオフィシャルブログ「ことばの種まき」
この時のことを村上さんもブログに書いてくれました。
https://ameblo.jp/nobu630/entry-12477840991.htmlf:id:karinmatasumori:20190618103321j:plain

UDトークの手書きモードも楽しんでくれました

ドラマチックに13年目、栃木県シルバー大学校


f:id:karinmatasumori:20190617132825j:plain

「お弁当食べてもいいですか?」
「ワイン飲んでもいいですか?」
「良かったらワイン半分いかがですか?」
時々遭遇しませんか?とってもオシのつよいオバさま。
栃木へ行く新幹線で隣り合わせ、うっかりしたら講演前に泥酔するところでした。

 

今年で13年目となる栃木県シルバー大学校での授業。
http://silver.tochigi-kenkoufukushi.com/
65歳以上の方の学びの場。
北校、南校、中央校と県内三か所、中央校は人数が多いため二回に分けて開催するので
計四回、栃木に通いますが毎回ドラマチック。

 

冒頭のやりとりは初日の新幹線。
笑顔で「どうぞおかまいなく。」と答えると
次から次へと話しかけてくれるのですね。
こちらが聞こえないことを伝える隙もなく。
身振りが大きいので言いたいことは分かる所が母ケーコみたい。
最後には、スマホでペットのにゃんこの写真まで見せてくれて
どんな仕草が可愛いかの実演までしてくれました。
ドラマチックな栃木行き。

 

別の日は、休憩時間に手紙を手渡して去っていった男性がいました。
あとでひろげてみると
ご自身が難聴であること、それに対して「つらいです」という思いが綴られており
胸が痛くなりました。
私もそんな気持ち、経験したことがあるからです。
でも、講演を聞いて
考え方を変えることができそうだということ、楽しいことを探していきたいという
前向きな思いも綴られていました。

 

「つらい」という気持ちはなかなか人に打ち明けられないものです。
ご家族などの身近な人にでさえも。
そしてそんな思いを抱えて生きるのは、しんどいことでもあります。
そのような思いを、初めて会った私に打ち明けてくださったことに対して
私もお礼を伝えたいと思いましたが
名前もなく、途方に暮れました。

翌日も同じ場所で講演だったので
そんなエピソードをちょっと交え、
弱みをさらけ出すのは恥ずかしいことではないし
つらいこともしんどいことも打ち明け合える関係性や
ひとりひとりがかけがえのない存在として
大切にし合える関係性を紡いでいけるといいなぁ、と
手紙をくれた方を思い浮かべながら話しました。

 

今年一番驚いたのは
昨年の生徒さん10数名が今年も受講されており
もしや留年かしら?と思いきや(←失礼)

「昨年先生の話を聞いて、手話愛好会を立ち上げました!」とのこと。

留年かと疑った私を心の中でひっぱたきました。(バチン!)

「新しいことを学ぶのに遅いことはない」と

地域の福祉課に相談をし、14名以上のメンバーでサークルとして認定され
ろう者の講師が派遣され、定期的に手話指導を受けているとのことでした。

「今年の一月にやっとスタートしました!」と嬉しそうに

報告をしてくださり、感無量。

 

授業とはいえ、生徒の皆さんは私の両親や祖父母と同じ年代の方々です。
豊かな人生経験を重ねてこられた方々は
朗らかで、おおらかで、笑ったり、泣いたり、とても温かい。
13年目となり、私も皆さんに少しずつ近づいていますが
憧れの人生モデルのような方がたくさん。

私よりもはるかに人生の先輩たちなのに、

「聞こえないことに関しては、カリン先生は我々の大先輩だからね!」と。

f:id:karinmatasumori:20190617132754j:plain

f:id:karinmatasumori:20190612180212j:plain

毎回カウンターでひとり餃子ビールも楽しい。

「人間としての幅が広がりそう」企業研修のご報告

ここ数年、交通機関や宿泊施設、百貨店からスーパーまで
多様な事業を運営する企業にて、研修の企画から講師までさせていただいています。
担当者との対話の中で、最も理想的な形を一緒に考えて、
研修内容を作り上げていきます。
テキストやスライドもそれに合わせて作りこんでいきます。

今回は
聴覚障害の理解を深め、手話を知ることで豊かなコミュニケーションにつなげる」

参加者数は約300人、7回に分けて開催。
聞こえない私と、聞こえる手話通訳者とのコンビで講師をします。
必要に応じてアシスタントも追加。
企業研修では、受講者の理解度を確認したり、次への参考にするなど
効果測定のためのアンケートも行われます。(毎回ドキドキ)

 

結果は5.00満点で

<研修内容について>

分かりやすさ……………………………4.86点
今後役に立つか…………………………4.90点
理解度……………………………………4.82点

 

<講師について>

話し方は分かりやすく聞きやすいか…4.94点
説明内容の理解のしやすさ……………4.92点
事例は興味を引いたか…………………4.92点

 

といずれも5点満点に近い数字だったため
社内でも話題にのぼり、回数を重ねるごとに
上層部の方々の視察的な参加も増えていきました。

 

自由回答では
<研修内容について>

・絵やデータ、具体例を記載しており、何も知らなかった自分でも理解できた。
・実用的。今後のお客さまへの接し方が変わります。
・聞こえる世界と聞こえない世界、どちらも体験されている話が印象的でした。
・すぐに使える手話、教材の絵の見やすさ、とても勉強になりました。お話しも楽しく、今後ともぜひ手話を学びたいと思いました。

・知らないことを知ることはとても大切だと感じた。聞こえない人のマインドに少しでも触れることができ、自分自身で何ができるか考えるきっかけになりました。
ジェスチャー、伝わりやすくするための工夫、意識、マインドが良かった。
・ワークが楽しく、コミュニケーションの重要性に改めて考えさせられました。
・日頃のビジネス研修のなかでも、よっぽどためになった
・まずもって、手話のバリアが解けた気がします。

 

<講師について>

・お二人とも表情豊かにやってくださったので、研修中「いい気持ち」で受けることができました。
・とても丁寧でひとつひとつの手話や言葉遣いが綺麗でした。

内容も心に入りやすく、楽しく最後まで受けられました。
・表情がとても良く、話すテンポも分かりやすかったです。アドリブの投げかけもあったりして楽しかったです。
・バリアの意味をしっかり認識できた。講師の生き方のすごさを実感した。
・物事に対する考え方等、もっとたくさんのお話を聞いてみたいと思いました。
・多様な視点で物事をみる大切さを学びました。
・講師の声のトーンが聞きやすく、こちらまで優しい気持ちになりました。
・松森講師の声のトーンが柔らかくて心地よかったです。飯塚講師の説明はハキハキしていて分かりやすかったです。

 

<その他>

・人間としての幅が広がりそうです。
温浴施設に勤務しています、サウナのテレビに字幕をつけようと思いました。
・相手に対して常に勇気を出して寄り添う気持ちを持って接したいと思いました。もっと手話も学びたいです。
・普段のビジネスシーンでは得ることのできない、知ることのできないとても貴重な経験でした。座学よりとてもためになり、考えさせられました。
・久々にこの上なく充実感のある研修でした。全国で広めてほしい。
・一日研修にしてください。2時間ではもったいない。

 

ありがたい声が沢山あり、励みになりました。
一方で、こんな手話を知りたい、こんなときはどう対応するのか?という質問もあり
回数を重ねながら内容を修正することもありました。

講師同士やアシスタントさんとの信頼感も私には心地よく
一緒にやっていて楽しいというのは、受講者にも伝わるんだなと思います。

 

結果は結果として受け止め、
これで満足をすることなく
今後もさらに良い品質を提供できるよう
チャレンジすることを楽しんでいこうと思います。

f:id:karinmatasumori:20190617112325j:plain

東京ろう映画祭の名解説

 


f:id:karinmatasumori:20190607081600j:plain


解説があって本当に良かった、と初めて思った作品。
もし解説がなかったら困惑し、
混沌とした気持ちを持て余したままだったかもしれない。
ろう者にとっては、ろう文化の否定ともとられてしまうような内容であり
人工内耳をめぐる家族の衝突、崩壊、再建などが...
リアルに映し出され、心がざわざわする作品だったから。

東京国際ろう映画祭の最終日。
米国ドキュメンタリー作品
「音のない世界で」と
「音のない世界で-6年後-」の連続上映後
宮城教育大学の松﨑丈先生の解説という三本セット。

衝撃的な内容に
心と感情を揺さぶられた私たちに向けられた松﨑丈先生の言葉は
「まずこの映画の本質は
人工内耳や、聞こえる聞こえないという問題ではなく
家族の幸せを探求するとはどういうことか?にある」という前置き。

その上で、人工内耳とはなにか?
なぜ彼女は人工内耳の効果が表れたのか?
父親はなぜかわったのか?(アイデンティティーなど)
という三つに絞って解説。
そうそう、まさにそこが知りたかったの!というような
かゆい所に手が届く名解説。
登場人物(かなり大人数!)の語りや些細な仕草や映像を
とても丁寧に観察されたことが伝わります。
(この解説のために10回以上鑑賞されたとか!)

そうしてあっという間の30分間が終わるころには
ああほんとだ、この映画の本質は
人工内耳をめぐる家族の葛藤などだけでなく
それを通して
子育ての在り方や
子どもの気持ちを尊重した対話の重ね方
自分のアイデンティティーと親としてのアイデンティティー、
そして両親や孫と祖父母との関係性など
「互いに幸せのかたちを探求し続ける」という
人間的な営みであることが分かってくるのです。

映画の解説者といえば、
私の中では、聞こえていたころの
「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」という名台詞が耳に残る淀川長治さんですが(笑)
松﨑丈氏の解説も本当に秀逸。
この方から紡ぎ出される言葉のひとつひとつは
まるで磨き抜かれた真珠のよう。
ひとつひとつ自分のなかでつなぎ留めていくと
新たな視点や見識につながっていきます。
締めの解説で心のざわざわが穏やかになり深みにはまり
もう一度観たくなる、語りたくなる、
松﨑丈氏だからこその解説でした。
ともあれば炎上でもしてしまいそうな
衝撃的なこの作品を解説できるのは
なかなかいないと思います。
この解説を聞きたいから申し込んだ、という人が多かったのが頷けます。

f:id:karinmatasumori:20190607081622j:plain追記:情報保障も秀逸!
中央に松﨑氏、両脇に立つろう者は
松﨑氏の手話を見てそれぞれアメリカ手話と国際手話通訳。
後ろにUDトークによる日本語と英語の文字表示。
松﨑氏の前に手話を読み取り音声にする通訳者。

 

ダイアログ・イン・サイレンス2019チケット販売開始

6月6日10時より事前予約開始❣️
【ダイアログ・イン・サイレンス2019】

2020 年東京都内に「ダイアログ・ミュージアム」を創設する準備のため
今年も8月9日から 8月18日まで新宿ルミネ0にて
聴覚障害者の案内のもと
「音のない世界」で言葉の壁を超える「ダイアログ・イン・サイレンス」を開催します。

是非ご参加くださいませ。
今年は期間が短くなっておりますので、チケットはお早めに☆

https://dis.dialogue.or.jpf:id:karinmatasumori:20190606103256j:plain

#ダイアログ・イン・サイレンス#言葉の壁を超えて、人はもっと自由になる。

Webアクセシビリティの学校【特別授業】に登壇


f:id:karinmatasumori:20190601144331j:plain

Webアクセシビリティの学校【特別授業】」に登壇させていただきました。

 

「だれもが隣にいる人と一緒に楽しむために」。
聞こえる世界、聞こえにくい世界、聞こえない世界、
どんな違いがあるのか。
情報格差とは?
コミュニケーションとは?
テレビや映画の現状は?
エンターテイメントは?
様々な素朴な問いかけを交えながら
「まずはWebの動画に字幕をつけてみませんか?」と
簡単な技術についてお話させていただきました。
情報保障としてUDトークによる日本語、英語、
そして手話通訳がついたのは初めてのことだとか。

 

声をかけてくださったのは
株式会社インフォアクシア代表取締役の植木真さん。
https://infoaxia.co.jp/about-us/profile.html

総務省のICT活用関係の委員会でご一緒したのがきっかけでした。
植木さんのバイタリティがすごい。
CSS Nite LPというイベントで
アクセシビリティ」をテーマにしたいと10年以上。
これまで視覚障害者の話はあったけど、
今回初めて聴覚障害の視点を入れてみたいとのこと。
私の専門とは違ったWeb関係者が集う場で、私にとっても新たなチャレンジでした。

 

Webアクセシビリティの学校で植木さんは「校長先生」。
代表者の鷹野雅弘さんをはじめ、
他の先生方(登壇者)はWebの第一線で活躍する方々。
それだけに、事前準備が徹底しているのです。
スライドの作成からアクセシビリティであることが求められます。
プロのみなさんのスピード感も半端ない。
校長先生から個別指導受ける私は落ちこぼ…いや、入学したての1年生みたい。
非常に勉強になりました。

おかげさまで、アンケートでは
「初めて聞く話ばかりで刺激的だった」
「字幕の有無が人権にまで関わると思った」
「一緒に楽しみたい。この気持ちを大切に考えます」
「動画を作るとき松森さんを思い浮かべます」
などうれしいコメントが沢山ありました。

 

放課後の懇親会では沢山のかたに声をかけていただき
朝から夜まで充実した1日でした。
植木さんをはじめ、運営に関わってくださった方々、お会いできた皆様に心から感謝の気持ちで一杯です。

ちなみに、生まれて初めてのTシャツで講演!でした。

Webアクセシビリティの学校2019
https://cssnite.jp/lp/lp62/

撮影: イイダ マサユキ

 

 f:id:karinmatasumori:20190601151645j:plain