ドラマチックに13年目、栃木県シルバー大学校


f:id:karinmatasumori:20190617132825j:plain

「お弁当食べてもいいですか?」
「ワイン飲んでもいいですか?」
「良かったらワイン半分いかがですか?」
時々遭遇しませんか?とってもオシのつよいオバさま。
栃木へ行く新幹線で隣り合わせ、うっかりしたら講演前に泥酔するところでした。

 

今年で13年目となる栃木県シルバー大学校での授業。
http://silver.tochigi-kenkoufukushi.com/
65歳以上の方の学びの場。
北校、南校、中央校と県内三か所、中央校は人数が多いため二回に分けて開催するので
計四回、栃木に通いますが毎回ドラマチック。

 

冒頭のやりとりは初日の新幹線。
笑顔で「どうぞおかまいなく。」と答えると
次から次へと話しかけてくれるのですね。
こちらが聞こえないことを伝える隙もなく。
身振りが大きいので言いたいことは分かる所が母ケーコみたい。
最後には、スマホでペットのにゃんこの写真まで見せてくれて
どんな仕草が可愛いかの実演までしてくれました。
ドラマチックな栃木行き。

 

別の日は、休憩時間に手紙を手渡して去っていった男性がいました。
あとでひろげてみると
ご自身が難聴であること、それに対して「つらいです」という思いが綴られており
胸が痛くなりました。
私もそんな気持ち、経験したことがあるからです。
でも、講演を聞いて
考え方を変えることができそうだということ、楽しいことを探していきたいという
前向きな思いも綴られていました。

 

「つらい」という気持ちはなかなか人に打ち明けられないものです。
ご家族などの身近な人にでさえも。
そしてそんな思いを抱えて生きるのは、しんどいことでもあります。
そのような思いを、初めて会った私に打ち明けてくださったことに対して
私もお礼を伝えたいと思いましたが
名前もなく、途方に暮れました。

翌日も同じ場所で講演だったので
そんなエピソードをちょっと交え、
弱みをさらけ出すのは恥ずかしいことではないし
つらいこともしんどいことも打ち明け合える関係性や
ひとりひとりがかけがえのない存在として
大切にし合える関係性を紡いでいけるといいなぁ、と
手紙をくれた方を思い浮かべながら話しました。

 

今年一番驚いたのは
昨年の生徒さん10数名が今年も受講されており
もしや留年かしら?と思いきや(←失礼)

「昨年先生の話を聞いて、手話愛好会を立ち上げました!」とのこと。

留年かと疑った私を心の中でひっぱたきました。(バチン!)

「新しいことを学ぶのに遅いことはない」と

地域の福祉課に相談をし、14名以上のメンバーでサークルとして認定され
ろう者の講師が派遣され、定期的に手話指導を受けているとのことでした。

「今年の一月にやっとスタートしました!」と嬉しそうに

報告をしてくださり、感無量。

 

授業とはいえ、生徒の皆さんは私の両親や祖父母と同じ年代の方々です。
豊かな人生経験を重ねてこられた方々は
朗らかで、おおらかで、笑ったり、泣いたり、とても温かい。
13年目となり、私も皆さんに少しずつ近づいていますが
憧れの人生モデルのような方がたくさん。

私よりもはるかに人生の先輩たちなのに、

「聞こえないことに関しては、カリン先生は我々の大先輩だからね!」と。

f:id:karinmatasumori:20190617132754j:plain

f:id:karinmatasumori:20190612180212j:plain

毎回カウンターでひとり餃子ビールも楽しい。