京都世界遺産巡り…サイクリング

karinmatasumori2011-08-14

五年生の授業で、世界遺産を調べていた息子。
六年生になり、歴史にも興味を向け始めた。
「よし、夏休みは京都へ行こう」

早速息子の下調べが始まった。京都にある世界遺産について、まとめるからパソコン貸してという。パソコンなんて、学校で触る程度なので、キーを打つのが遅い遅い。
息子が作業している間は私は仕事ができないので、時間制にする。
調べ上げた世界遺産を大きな地図にマーキングし、その中から行けそうなところをピックアップ。

それらをどうやってめぐるか?電車もバスもあるが、4月の京都出張の際、自転車を借りて桜の中気持ちよくサイクリングをしたことを思い出した。


「京都世界遺産めぐり…サイクリング」


季節をすっかり忘れていた。京都の暑さをすっかり忘れていた。

一日目。
午前中に着き、拠点となる三条に荷を下ろす。
腹ごしらえをして自転車を借りる。タイムリミットは18時。最初に目指すは銀閣寺。
京都の東側へ向かって上り坂が続く。
京都って盆地なんだなぁと実感。
高い生垣が、下界と遮断し暑さも少し和らぐ。青空と白砂と緑のコントラストが美しい夏の銀閣寺。じっくりと堪能した後は、下鴨神社へ。
京都の中央を流れる鴨川めざして、一直線。
蒸し暑い本堂の中で下鴨神社の説明が行われ、息子のメモを見る私。ここには二葉葵の自生する「葵の庭」があるのだが、カリンの古木でも有名なので「カリンの庭」とも呼ばれているとか。徳川家の葵の御紋が大好きな息子は写真を撮りまくっていた。
近くでみたらし団子とかき氷を食べると、16時過ぎ。今日はこれまで。京都御苑を通り抜けて戻ろうということに。
広大な御苑は、緑も公園もあり自転車で通り抜けたら気持ちよいだろうと思ったのだが、敷地内は全て玉砂利だったのだ。
しかも、深い!砂浜を自転車で漕ぐことを想像してほしい。気づいた時には引き返す距離でもなく、何度も車輪を玉砂利にとられながら、炎天下通常の三倍の時間をかけて通り抜けた。おそるべし京都御苑
二日目。
電車で嵐山に行き、そこで自転車を借りる。
朝の爽やかな嵐山渡月橋で記念撮影。天竜寺は、何度訪れても好きな場所。池泉回遊式庭園は、青空の下、白砂と松の緑が広がり秋はもっと美しいだろうなと想像。
天竜寺から向かったのは、仁和寺竜安寺金閣寺。これらは山道をひたすら登っていかねばならない。
都内でも猛暑注意報が出ていたころ、もっと暑い京都で、自転車で山道。汗は滝のように流れ、修行か?!
息子についていくのに必死の私。とにかく暑い、暑い、熱い!!
仁和寺前で食べたお蕎麦屋さんが、「畑でとったばかりです!」と出してくれたスイカの美味しかったこと!
竜安寺も、金閣寺も、猛暑さえなければ素晴らしい世界遺産だった。
帰り道を思うとげんなりしたが、自転車を乗り捨てていくわけにもいかず、ふたたび自転車を借りた嵐山へ。山道は下り気味だったが、今度は西日が強く、ここまでくると笑いたくもなってくるものだ。
嵐山に着いたころは、出発時の爽やかさはいずこへ。早く戻ってシャワー浴びてビール飲みたい!

三日目。夕方の新幹線で帰るので、バスで東寺と清水寺にいくことに。
東寺は講堂に入るのは初めてだったのだが、安置された21体の国宝の仏像の迫力に圧倒された。鳥肌が立つくらいの力強い彫刻に私も息子も腰をおろしてしばし呆然。
仏様というと、穏やかな顔を思い浮かべるが不動明王のそれは怖い。こんなにも豊かな表情があったなんて。
「本物を見るのって違う」とつぶやく息子。
本当にその通りだ。
自分の目で見て耳で聞き肌で触れ、心を澄まして感じ取ったものこそ本物だ。
余韻に浸りながら、清水寺へ。途中、陶器を買い、荷物が重くなると息子からひんしゅくも買う。
清水寺ではたまたま「千日詣り」が一般公開されていた。ろうそくを買い、願い事を書いて灯をともすと、一回で千日詣りと同じご利益があるという。真っ暗で天井の高い本堂に入ると、隙間もなくびっしりとろうそくが並び、ぎゅうぎゅう詰めの人とろうそくの炎で灼熱地獄のようではあったが、東日本大震災への復興の思いもそこかしこに見られ、幻想的な風景に汗と涙がにじむ。

終わってみて、今回の旅で息子が一番見たかったのは金閣寺であるが、一番印象に残ったのは清水寺だという。断崖に139本の柱を組んで作り上げられた清水の舞台。「わざわざあんなところに造るのがスゴイ」というが、確かにダイナミック。

春夏秋冬。
夏の猛暑はあっちこっち歩き回りたくないが、四季折々の美しさはやはりこの目で見てみたいと思う。
そして、サイクリングはやはり桜と紅葉の季節に限る。
息子と二人東京駅に降り立った瞬間、思わずつぶやいた。
「涼しい!」と。