政府のインターネットテレビには手話があるのに

政府のインターネットテレビをご存知ですか?
総理の動きや政府の重要政策を動画で紹介しているサイトです。

ちょっと古い話題になりますが
アルジェリア邦人拘束事件について、政府の記者会見が何度も行われていました。
その時のテレビのニュースでは「生字幕」は出ますが、
舞台の端にいる手話通訳はカットされて、官房長官のアップばかりです。
聴覚障害団体からも、手話通訳を一緒にうつしてほしいという要望は
何度も出ているはずなのに、なぜできないのでしょうね。


そんな折、たまたま政府インターネットテレビを見てみたら、
画面を二分割し、手話通訳と官房長官がともに映っていました。
手話も大きく内容がとても理解しやすいです。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg7506.html?t=60

インターネットテレビでできることが、
なぜ地上波テレビではできないのでしょうか。
記者会見の場に手話通訳がつくようになったのは
東日本大震災がきっかけです。
これも聴覚障害者団体からの強い要望で実現したものです。
最初は、手話通訳も一緒に映しだしていたものの
しばらくすると、どの放送局も手話通訳は映さなくなりました。
何のための手話通訳の存在なのか、以前にもこのブログで
投げかけたことがあります。
<ちゃぶ台いくつあっても…>
http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20110607



聴覚障害者の中には、字幕の方が良いという方もいれば
手話の方がわかりやすいという方もいます。
地上波テレビでは、映像+字幕
インターネットテレビでは映像+手話
映像+字幕+手話の三位一体となれば、
手話の分からない難聴者や高齢者でも理解しやすくなりますよね。

テレビで映すときには、手話通訳者をもっと話者の隣に寄せて一緒に映せばよいのです。
手話通訳を必要とする聴覚障害者は
手話通訳だけを見ているわけではありません。
話している人自身の顔の表情や口の動きも一緒に見て理解したいのです。
だから、講演や通常の手話通訳が必要な場面でも、できるだけ話す人の近くに立ってもらうのです。
官邸での記者会見の手話通訳の立ち位置は、かなり離れていてとっても不自然。
選挙の演説だって、手話通訳は立候補者の隣で(あるいは一歩引いて)一画面に収まっていました。
わざわざ、ワイプを使ったり二分割する必要はないのです。


放送局は字幕は何とか対応することができているけれど
手話放送に対しては
「必要性は理解している」
しかし
「手話通訳者の確保が難しい」
「予算の確保も難しい」
という理由で、あまり積極的ではありません。
だとしたら、政府が用意した手話通訳付きの会見は
予算いらずで「手話付き放送」ができる絶好のチャンスだと思うのですが。
一画面におさめるようにすれば、一石二鳥も三鳥もそれ以上の波及効果があるはずです。


必要とする人に広く情報を伝えるのがテレビの役割の一つ。
字幕つけば手話つかず、手話つけば字幕つかず。
まるでモグラたたき。
モグラたたきは大好きですが、終盤になるとわらわらとまとめて出たり引っ込んだりするので
思わず両手でバシバシと反則技が出てしまうものです。
まさにそんな心境。