まどろみの世界

セレブ島エピソード第二弾。
午前中ダイビングを楽しんだ後、午後はスパへ行ってストーンマッサージ。
その名の通り、石を使ってマッサージをしてくれるのだ。
石はどれも平らでまーるくすべすべ。
最初のカウンセリングで、マッサージの程度を選べる。
「ハード」か「ソフト」か?
もちろん、私はソフト。
私がマッサージに求めるのは「究極のまどろみ」!
疲れを癒しながらまどろみの世界へ、これ以上贅沢な時間はないだろう。
まどろむ気満々で友人と並んでベッドに横になった。

・・・ところが現地の人の力、強いのなんのって。
これがソフトか?というくらい、指を身体に押しこんでくる。
うがー…イタイ・・・・・・・・

しかし私は耐えた。
まどろみの世界はどこへやら、痛みと強さの中でのとまどいの世界だ。

ストーンマッサージはすべすべと、それなりに気持ちよく、まどろみの世界が見えたりもしたがすぐに遠ざかりまた近づき・・・といったかんじ。

すべて終わったあと、友人に聞くと、彼女もかなり痛かったらしく、何度も何度も
「ソフト!ソフト〜!」と叫んでいたらしい。
そのたびにソフトになるが、またすぐに力が戻ってくるという。

もし彼女が「ソフトソフト!」と言っていることが分かれば、私も声を出していただろう。
でも、補聴器を外すと静寂の世界の私はついついためらってしまった。
静かなところ(静かな世界)で声をあげるのって、勇気がいる。

日本で行きつけの整体では、何度か通ううちにコミュニケーションカードなるものができた。
聞こえない私に対して、「大丈夫?」「痛くないですか?」「右向きになってください」「仰向けになってください」などといったことが書かれたカードだ。
これを、整体中に何度も繰り返し見せてくれる。
嬉しくもアリ、時折、うるさいなーと感じることもアリ・・・

海外では、手とり足とりといった感じで、まな板の上の鯉状態。
痛いときはこちらから言う、それ以外は(手とり足とりで)お任せする。
この加減がうまくできるようになったら、まどろみの世界も近いのかもしれない。