ちゃぶ台いくつあっても…

真面目なハナシ。

友人から話しかけられた。
「最近の政府のニュース、手話通訳はいるみたいなのにすぐに首相や官房長官のアップになってて、手話通訳映らないよね。画面の隅にワイプも入らなくなったよね。」


そうなんです。本当に。
東北大震災三日後、政府の記者会見専用の手話通訳者が入り、どのテレビ局もワイプで手話通訳を一緒に映し出していた。
けれども、四月に入ったころからか、手話通訳を映し出す局はほとんどなくなった。
記者会見会場には手話通訳がいて、会見のたびに手話通訳をしている。


誰に向かって手話通訳をしているのか?
会場にいるマスコミ関係者の中に、聴覚障害者がいるとも思えない。一人か二人くらいいたとしても、彼らの役目はその向こうにいる視聴者に情報を届けることである。


手話は目で見る視覚的な言語。


見えなければ意味がない。
伝わらない、伝えていない。ということを、マスコミの方々はご存じなのだろうか。
音声の出ないテレビを一度じっくり見てほしい。


もっと厳密にいえば、手話を言語としてる人たちは、手話通訳者の手の動きだけではなく、話している本人の顔の表情や雰囲気も一緒に見て情報を受け取る。
だから手話通訳はできるだけ、話している人の近くで通訳をするのが望ましいといわれている。
首相や官房長官の、もっと近くに寄って通訳をすることはできないのだろうか。


聴覚障害関係団体も、政府に対してさまざまな要望を出しているが、日本国内では、あらゆる人に平等に情報を提供するというルールがない。


冒頭の友人は、続ける。
「日本の聴覚障害者たちは、どうやってニュースの内容を知るの?私が育った韓国では、ニュースには字幕や手話が入っているのをよく見るのに。」
そう、彼女は韓国で育ち、今は日本で暮らしているのだ。
だから、こんなことに気づいてくれる。
手話も字幕もないのが当たり前の日本で育った人々もマスコミ関係者も、「本来あるべき姿」になかなか気付いてくれない。


ときどきうんざりしてちゃぶ台ひっくり返したくなるが、
それでも、このような問題を提起し発信し続けなくてはならない。
ちゃぶ台いくつあっても足りない!笑