「コシヒカリ定食」あります

コシヒカリ定食あります!」



新潟からの帰り、車窓から束の間見えたフレーズにくぎ付けに。
昔ながらの佇まいの温泉街の中、ポツンとあった中華料理店。
壁にでっかく、「コシヒカリ定食」が打ち出されているのだが
その下の料理の写真は大皿の麻婆豆腐と中華スープそして白米なのだ。
どうみても麻婆豆腐定食。
メインの麻婆豆腐を差し置いて、いきなり「コシヒカリ定食」ときた。




……凄い勝負です。




米処新潟だから、おそらくこの白米がコシヒカリだという主張なのだろう。


コシヒカリと言ったら圧倒的な存在感を放つブランド米だ。
私も昨年、収穫したての魚沼産コシヒカリを贈っていただいたが、
見た目は白磁のようにつるんと艶があり、
それだけで主役になれる旨みがあるのは誰でも知るところ。
どうみても繁盛しているとは思えない中華料理店、
そのブランド名をとって
「麻婆豆腐定食」に無理やり「コシヒカリ定食」とつけて客を誘う。
まさにご当地だからできたこと。
売れない親子丼も、「コシヒカリ丼」とするだけで
なんだか食べたくなるような気がする。
刺身定食だって、「コシヒカリ定食刺身付」にするだけでグレードアップ感が。
狡いといえば狡いが、ウマいと言えばウマい。
商売魂の本質を見たというか、
なんだか一本取られた感がある。