合唱祭

息子の合唱祭。
補聴器をつけても、音の広がりや強さを感じる程度の私にとっては
一緒に行ったママ友達のガイドがあって、初めて雰囲気をつかむことができます。


「一年生のときは声変わりしている男子と、まだの男子が混ざっていたけれど
今(二年生)は全体的に落ち着いたよ」
「声が小さいなぁ。言葉がはっきりしない。」
「ハミングがいまいち!」
と、容赦ないのですが
上手なクラスに対しては
「声量が大きくてすごく上手!」
「ピアノの伴奏がすごい。指揮者もうまい!」
「三年生は、迫力が全然違う!!」
と、鋭くて的確なママ友ガイド。


確かに、一年、二年生と、三年生の雰囲気の違いは私でもわかるほど。
音は空気を振動させます。
振動の仕方や強さが三年生のほうが圧倒的に大きい。
身体も大きくなっているので、舞台に並んだ時の迫力もあります。
聞こえない私でも鳥肌が立つくらい。
いつも色々なことを教えてくれれるママ友達たちに感謝です。


さて、私自身も
中学校で印象に残っている学校行事といえば、合唱コンクール
一年次は、課題曲「夢の世界を」と、自由曲「カリンカ
二年次は、課題曲「モルダウ」と、自由曲「一つの朝」
三年次は、課題曲「山の息吹」と、自由曲「十字架(くるす)の島」


ここまで書いて、よく覚えているなぁと。
中学時代は右耳はすでに失聴し、左耳の聴力が少しずつ落ち始めたころ。
それでも聞こえる音を何とか拾いつつの三年間。
たまたま三年間、音楽の先生が担任だったということもあり
合唱コンクールへの力の入れようは、ほかのクラスよりも圧倒的に強く
休み時間は発声練習、昼休みはパートごとの練習、放課後は全体での練習。
日没の早い秋の夕方、金木犀の香りをいっぱいに吸いながら
練習していたことを思い出します。
青春!


私自身は片耳が聞こえないことで音程が取れず、
音痴を自覚していたので大きな声で歌うことは一度としてなく、
邪魔にならない程度で控えめに歌うのがやっと。
合唱コンクールで毎回困ったのは、私の歌う位置。
舞台に並ぶ時というのは、
大体舞台中央から男女の背の低い順に横にひろがり、
二列、三列と背が高い人が後列に来るようになります。
クラスで一番背の低かった私は、常に最前列中央。
つまり、私の左側には男子が並ぶという構図。



何が困るか?
左側にいる男子の声は聞こえるのですが
右側にいる女子の声はほとんど聞こえないのです。


合唱は男女別で歌うパートが違ったり、早さが違ったりします。
一緒に歌う女子の声が聞こえないということは、
女子の声に合わせることができないということ。
どこを歌っているのかわからなかくなってしまうということ。
わからないと、口パクすらもできないということ。


さりげなく一歩引いて、右隣の女子の口の動きを見て確認をしたり
肩の動きや、息を吸い込むときの動きなどで確認をしたり、
そうするともう、歌うどころではなくなってしまうのです。
毎回ぐったり。
指揮者がいっしょに口を動かしてくれたらよかったのに、と今は思ったりするのですが。笑


そんな合唱コンクールでしたが、クラス全員の気持ちが一つになるまでの
すったもんだは、まさに青春。
最優秀賞をとったときは本当に嬉しかったなぁ。


だから今でも、私の耳に残っている合唱は、男子の声の印象が強いのです。
もちろん、練習の時の女子の美しいソプラノに、文字通り耳を傾けるのも大好きでした。
今日の合唱祭では、三年生が「一つの朝」を歌っており
懐かしい響きを感じました。
男子の声が強く頼もしく感じる歌なのですが、
女子の声とのかぶさり、かけあい、ハーモニーを思い出し、
聞こえないってなんて残念なのー!と痛烈に思ったひととき。笑
望んでも叶うことのない歌声を、
忘れないように忘れないように。