ライブやコンサートだって楽しみたい!






日本最大規模の男性ファッション&音楽イベント
「第五回ボーイズコレクション」に『要約筆記』がつき
久しぶりにはっちゃけました!

会場に入ると、聞こえない私でも踊りだしちゃうくらいの耳をつんざく大音響。
それに合わせてランウェイを闊歩するイケメンモデルたち。
周りを見ると皆、耳元で大声で会話をしている様子。
そんな中、手話のできる私たちは難なくコミュニケーション。
手話って便利!


舞台中央には大きなスクリーンがあり、モデルたちのアップを
映し出しています。ここにメインプログラムから要約筆記が出ると聞いていましたが
実際にはメインプログラムの1時間前、
内山麿我(うちやままろか)さん出演部分から終了まで、
進行・歌・トーク等に字幕(PC文字通訳)が表示されました。
要約筆記者は、スクリーンの向かいとなる奥の方に配置されていました。
私たちの席はランウェイの先っぽの近くで、スクリーンも良く見える位置です。

まずはビール。
これがなくては始まれない私たち。
良いカンジのほろ酔い加減になったころ、お待ちかねの「ナミねぇバンド」登場!!
大きなスクリーンにナミねぇの顔と字幕が表示。
この曲はスイング風だとリズムを教えてくれる友人。
二曲目に入った時、スペシャルゲストとして
かーくんこと、諸星和己君がローラースケートを履いて登場!
中学生の時大ファンだった私、コーフンしました。
歌っているナミねぇの肩を抱いたりと、サービス満点。
(↑これ、実は裏話があって爆笑!)
ナミねぇズルい!!とジェラシー丸出しの私。笑

その後「プロップな仲間たち」という曲に合わせて
チャレンジド・アスリートたちの登場。
パラリンピックで活躍された選手たちの、
車いすパフォーマンスのカッコいい事!!
スクリーンには、進行のMCもすべて字幕表示され、テーマである
「ユニバーサル社会の実現」そのもの。
「その手を離すなよ
  その手を離すなよ」
という歌詞にちょっと泣けた私です。
 

ファッショナブルなモデルが次から次へと登場するプログラムの流れが、
「ナミねぇバンドとチャレンジド・アスリート」の登場で
一気に雰囲気が変わりました。
ナミねぇのユニバーサル社会への熱い思い
車いすを駆使したアスリートの鍛え上げられた身体と心の強さ
絶妙なトークで笑わせる諸星和己くん
それらを正確に伝える要約筆記。
会場に与えたインパクトとパンチは、きっと大きかったことと思います。


大音響の中では、聞こえない私だけでなく
聞こえる人にとっても字幕は便利だったことでしょう。
出演された歌手やアーティストにとっても、
自分の歌詞や思いを正確に伝えることができたのではないでしょうか。
「要約筆記の実現」を実現させてくれたナミねぇをはじめ
主催者の方々に、心から感謝します。



中学〜高校時代に聴力を少しずつ失った私は、
当時、色々なことをあきらめなくてはなりませんでした。
音楽、テレビ、映画、電話、コミュニケーション。
今だから話せることですが
中学生になり、友人の影響で生まれて初めて興味をもった芸能人が
当時流行っていた「光GENJI」です。
人並みにテープを集め、彼らに会いたいと願い、毎日彼らの歌を聞き、
落ち込んでいるときには励まされたりと、音楽や歌の力を知りました。
でもそれは長く続かず、
聴力の低下とともに音楽が聞こえなくなっていきました。
スピーカーに耳を密着させて音楽を聞こうとする日々です。
最後には、ボリュームを最大限にしても感じ取れるのは「響き」だけ。


聞きたいのに聞けない。
楽しみたいのに楽しめない。


私は、まず音楽を手放しました。
それからテレビも見なくなりました。
ものすごく理不尽な思いを抱えながら、
それまで普通にできていたことを
ひとつひとつ、無理やり封印していったのです。
封印したうちのひとつが、こんな形で開くなんて思いもしませんでした。
「ライブやコンサートに情報保障がつく」
当時はできなくて、諦めざるを得なかったことが、現代では可能です。


聞こえる聞こえない関係なく、みんなが同じ情報を共有すること。
それは、教育や社会参加など、最低限のことだけでなく
ライブやコンサート、映画や演劇、テーマパークに至るまで
「楽しみ」の分野にも必要です。


中途半端に封印してきた数々、今では楽しめることいっぱいあるんだと
改めて感激した機会でした。
失ったものの代わりに、新たに得るものをと、自分がこれまで活動してきた「ユニバーサルデザイン」が
こんなふうに繋がってくるなんて、人生ってやっぱり面白い!
それにしても。
写真を見ながらやっぱりナミねぇにジェラシーの私です。w