ユニバーサルデザインへのプロセス

成田空港のユニバーサルデザイン推進委員会。
土曜日は成田空港第1ターミナル、日曜は第2ターミナルと
二日連続午前から夕方まで歩き回って現地調査です。
色んな障害のある方たちとの調査は、多様な視点で見ることができるので面白い。


聞こえない私が空港内で一番緊張するところって、出国時の保安検査場。
手荷物をかごに入れてレーンにのせ、
金属探知機のゲートをくぐるときって探知機が反応した時の音が聞こえないから不安になるんですね。
係員の顔をじっとうかがって通り過ぎるので、なんだか不審者ぽい。


今日の私は、引っかかってしまったらしく係員からボディチェックを受けました。
この時に、聞こえないことを伝えても、丁寧な説明がないまま身体中を触られることもあります。
ひとこと「身体を触ります」と言われているのでしょうが
それが伝わらないために、不快な思いをする聴覚障害者もいることでしょう。
ボディチェックを受けている間、周囲からじろじろ見られるのも気持ちの良いものではありません。
かける言葉が決まっているのであれば、あらかじめ
文字やイラストで準備し、指をさしてコミュニケーションとることができます。


さて、今回の保安検査場では
モニターに身体のイラストがあり、
探知機が反応した部分が黄色くなるのですが
私の場合は、下腹部に黄色い四角が。
ベルトの金具だったのだと思いますが、
これはまるでイエローカード


ちなみに、一緒に参加したろうのO氏(男性)は下腹部にT字型で黄色。
「人工じゃないよ!」と笑っていましたが、イエローカードもイエローTも、なんだかちょっと恥ずかしい。
四回引っかかったら、出国禁止になるのかしら。笑


そんなこんなで、成田空港第1〜第3ターミナルの調査が終了です。
調査時には、スタッフの説明の手話通訳を見続けているとメモがとりにくく、時間がかかる為
二回目の調査からは記録係をつけていただきました。
おかげさまで、効率よく調査に集中することができました。
今回のように、個別に対応することを合理的配慮と言います。
合理的配慮を効果的に行うことで、お互いが気持ちよく
スムーズな仕事につなげることができるのですね。


最終的な目的は成田空港のユニバーサルデザインですが
そこに至るまでの、こんなプロセスのひとつひとつの積み重ねが
実はとっても大切だったりするのです。
担当者や関係者の真摯な姿勢に、私も精一杯応えていこうと思います。