「接客のプロ」×「手話」=〇〇

「接客のプロ」×「手話」=〇〇

羽田空港や成田空港でのおみやげもの屋さん、服飾雑貨店、免税店、ブランドショップなどで
手話を勉強中のスタッフが増えているのをご存知ですか?
これらのお店を運営・販売をするのは株式会社羽田エアポートエンタープライズです。
http://www.haneda-ae.co.jp/



「手話は言語」であるならば
「手話を使うお客さまにも等しく最高のおもてなしをしたい!」
という革新的で柔軟な考え方のもと
「ふやそう!手話ができるスタッフ」プロジェクトがスタートしたのが2017年4月。
聞こえない私と、手話通訳士カヨさんの二人三脚(二人四手?)で二年目となりました。


聴覚障害の理解を深める研修や
接客手話を中心とした定期的な講習を重ねてきました。
お仕事がある中での講習会ですから、年間五回、一回一時間!という少なさ。
こんな短時間で接客手話を身につけるための、様々な工夫とアイデア
積極的に導入していく柔軟さとフットワークの軽さに毎回脱帽。



さて、聞こえない私にとって、
「買い物」とは「自分でほしいものを選んで買う」だけの行為でした。
店員さんから声を掛けられても愛想笑いでその場をしのぐこともしばしば。
必要な時だけ筆談等でコミュニケーションをとりますが
普段は無意識にコミュニケーションを避けてしまう傾向があります。


ところが、あなどるなかれ接客とは
「会話を楽しみながら買い物ができる」場でもあったのです。


「お土産をお探しですか?」といったさりげない声かけから
会話が始まり、気づくと
「実家に帰省するためのお土産で、大人にも子どもにも喜ばれて
個包装で数が多く、パッケージも可愛いものがほしい」

といった風に、自分でも気づかなかったニーズが明確になっているのです。
距離感が近づくことで、ニーズに合わせた商品の提案や
限定商品の紹介をしてくれたり、試食ができたり
結果的に「充実した買い物ができた!」と満足感から足取りも軽くなります。


空港ですから、どこへ行くのか?という話題になることもあります。
そこから現地の気温や、天気などの情報を教えてもらえたり
「寒そうだからマフラー買っていこうかな」と
素材やデザインを一緒に選んでくれる良きアドバイザーでもあるのです。


このような「会話をしながら買い物を楽しむ」という経験は
聴覚障害者にとっては少ないと思うのです。
むしろ、値段が分からない、商品説明が分からないなどの
不安やガマンのほうが多くあるかもしれません。


でも、店員さんが手話ができたら……
手話を使う人たちにとっての不安やガマンを
驚きや楽しみに変えることができるはずです。
こうして始まった、「ふやそう!手話ができるスタッフ」プロジェクト。
今年も楽しい仕掛けづくりをしていきます。
何しろ接客のプロです。
「接客のプロ」×「手話」=どんな相乗効果があるのか
ワクワクするプロジェクト、本年度もスタートです!