大地震!静かな大惨事。

karinmatasumori2011-03-13

用事から帰宅し、遅めのお昼を食べ終わったころ。
激しく突き上げるような縦揺れの直後、大きな横揺れが始まった。
最近何度か地震があったが、尋常ではない揺れだとケータイ握り締めてテーブルの下に潜り込んだ。
テーブルの足を掴んでも、一緒に移動してしまうくらいの激震。
電気が揺れ、干してあった洗濯物が揺れ、棚やカウンターのものがどんどん落ちてくる。本棚の本が雪崩のように散乱する。

現実とは思えない光景に、早く収まって!とひたすらテーブルの足にしがみつくしかなかった。
揺れは収まらず、家の中の物はどんどん倒れていく中、ケータイを開いてあちこちメールを送るも、通じず。
少し収まった時に、固定電話の子機と、テレビのリモコン、毛布をすぐに取り寄せる。台所を見ると、グラスや食器類が飛散してガラスだらけの惨状。
地震の衝撃で、ベランダの戸が全部開いて風が吹き込んでくる。
呆然と立ち尽くすまもなく、また大きな揺れが。
テーブルの下から、震える手で、実家の電話番号を何度も何度も押し、奇跡的に繋がった時、一方的に叫んだ。
「お父さん?お母さん?すごい地震です!万が一のときは、子どもをよろしくお願いします!」

それは、あきらめの電話ではなく、覚悟の電話。
なんとしてでも生き延びねば。
想像を絶する恐怖に、とにかく、叫びたかった。


その時、おそらく様々な音があったことだろう。
でも、私にとってのそのときは、大きな揺れ以外はものすごく静かだった。
静かに本や置物が散乱し、静かにカーテンがはためき、静かに食器やグラスが砕け散り、静かに、でも尋常ではないくらいに揺れていた。

揺れが収まるのを待って、戸外に出ようとするがドアが歪んだのか思い切り力を入れないと開かなかった。
我が家はマンションの15階。
廊下には、同じフロアのお隣さんたちが集まって涙ながらに震えていた。
私が聞こえないことは、みんなに伝えてある。
でも、みんなで何を話しているのかは分からない。

分からない不安。
情報が入ってこない不安。
携帯がつながらない不安。
余震が続く不安。

一旦室内に戻った直後に、また大きな余震が。
一人がこんなに心細いと思ったことはない。
学校にいるはずの息子の安否も気になる。
外に出ないほうが良いといわれたが、おそらく連絡網が回っているはず。
こんなときに、ケータイがつながらないなんて!

学校で無事に息子や先生方、他のお母さん達と会って思わず泣いてしまった。
その帰り道、四時過ぎだった。
届いていたメールをまとめて受信したのは。
家族からのメールも、友人からのメールも、学校の先生からのメールも。

その夜は、余震が怖くて一睡もできずずっとテレビに釘付け。
NHKは夜までの生字幕だったが、なんと日本テレビが深夜も朝になっても、丸一日生字幕をつけて放送していた。
これは物凄いことだと思う。
おそらくは交代制で字幕を出してくれていたのだろう。想像して涙が出てくる。

次々と各地の様子が映し出されるのを見て、胸が痛い。

奇しくも、地震の二日前息子と二人で
「もし、何かあったときは学校か、友達と一緒に待つんだよ!何があっても必ず迎えに行くからね。」
そんな話をしていたのを思い出した。