比べられないもの

karinmatasumori2011-03-23

「被災地の方に比べれば…」


どのテレビを見ても、どのインタビューでも、誰と話をしても、自分自身ですらも二言目にはこの言葉が出てくる。
地震と余震の怖さも抜けきれぬとき、長年親しくしていた手話通訳さんの訃報が入った。
あまりにも衝撃的で、事実と受け止める余裕すらなかった。
お通夜でその現実を目の当たりにし、堰を切ったように涙がでてきた。
春を思わせる朧月夜の美しい夜。


いまだに大きな余震が続く毎日の中で、人々は日常生活を取り戻そうと動き始めている。
自分自身を取り戻そうとしている。
でも、大きな恐怖感と、喪失感と、無力感に苛まれて何も集中できない自分が情けなかった。
何度冒頭の言葉を繰り返したことだろう。

停電や、断水で我慢と制限の多い毎日。
テレビをつけても地震のニュースばかりで、見たい番組が見れずにぼやく息子につい冒頭の言葉を繰り返してしまう。


「僕だって我慢してる。」



そうだよね、そうだった。今の状況で精一杯我慢をしていることが多くある。
被災者の方々に比べれば、何でもないこと。
そう思い、言い聞かせ、甘えることを許せない自分と、それでも辛いものは辛いと思ってしまう自分との間でずっと葛藤していた。
そんな時、とても響いた友人の言葉。

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いま日本ではみんな、被災地の人に比べれば、家族や家を失った人に比べれば、
亡くなった人に比べれば、と我慢して頑張っていると思います。
でも「幸せ」と同じように、「つらさ」や「悲しさ」や「苦しさ」も
他人と比べるものではないんじゃないか、と思うようになりました。
私も先週は不安感や喪失感、そして何もできない無力感にさいなまれながら
大した被害もないのにつらいと思うなんて、と自己嫌悪に陥っていたけど
いまは自分は自分、つらい時はつらいんだ、と素直に認めた上で
自分が元気になることも大事ではないかと思っています。

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自分が元気になること!これが今日からの目標。
息子が学校から帰宅し、聞いて聞いて!とのたまう。
漢字遊びだという。
液状化現象ってあるでしょ。これは駅浄化現象にしたらいいと思わない?」


オヤジギャグ現象でしょうか。