映画館逃亡

聞こえない分、普段から視覚情報に敏感だ。
無意識に細かい情報までもが常に視覚的に飛び込んでくる。

逆に、会議などで手話通訳を何時間も見続けるときは、半端じゃない集中力を要する。
議論のときなどは、手話を見て、話を理解し、整理し、自分の考えをまとめて発言し…と脳内フル稼働。
手話とは目で見る言語。
細かい動きや空間移動、顔の表情、口の形など、様々な動きをいっぺんに読み取るから、目への負担は想像以上となる。
時々目をつぶって、何も見たくなくなる時もある。


どうしようもなくストレスを感じたとき、私は二時間時間があれば迷わず映画館に逃げ込む。
家から映画館まで三分程度というのもありがたい。
映画そのものを見るのも好きだが、映画館という空間が癒しの空間となる。
暗闇の中「見る対象」が映画だけ。
ほかの動きを気にすることなく座っていられる。
いつも持参するのは良い香りのハンドクリームと、ひざ掛けになるもの。
良い香りと適度な温度。
大音響を体で感じられるのも良い。
プレミアムシートが通常料金で入れるときはラッキーだ。
プレミアムシートはリクライニング式になっているので、うつらうつらと眠るのも心地よい。


でも、ビールはだめだ。
熟睡するおそれがある。
以前、爆睡し上映終了後もずっと気づかず掃除のスタッフに起こされた。
電車を寝過ごしたような気恥しさ。
それはそれでスッキリするのだけど。