突然の異変

その異変に気付いたのは今年の冬も終わるころだったか。
毎朝起きると、頭頂部の毛髪が逆立っている。
単なる寝癖であれば、私はロングヘアなので髪の毛の重みで自然とおとなしくなるものだ。
しかし、打ち合わせ先のトイレに入ったら朝と変わらず元気よく逆立っている。
正面から見るとそれほど分からないが、横から見るとまるで「おばけのQちゃん」
例えが古いが、他の例が思いつかないので仕方ない。
打ち合わせが始まるというのに、思わず観察。


頭頂部、というかつむじのあたりの髪の毛がそうめんの一束ほど短い。
長さは3センチくらいだろうか。
その部分が逆立っているのだ。
なんで、ここだけ短いの??


もしかして先日美容院でカットしてもらったときに、間違えてごっそり切られたとか?
いやでもよく見ると、短い部分の髪の毛の先端は自然な細さでフェードアウトしている。
カットした場合は、断面的になっているはずだ。


……こ、これは紛れもなく新しい毛髪。


通常ならば頭頂部を超えてつむじのあたりから、毛髪は肩に向かって下に落ちていく。
重力のなせる技だ。
しかし、つむじから新しく生えた毛髪は、上へ上へと伸びあがってゆく。
まだ短いから重力だってなんのその。


いつもお願いをしている美容師さんにも笑われた。
髪の毛は周期ごとに新しいのがどんどん生えてくるから異常ではないとのこと。
でも、つむじ部分からそうめん束がまとまって生えてくるのは面白いと。
それにしてもこの突然の異変はなんなのか。
ホルモンバランスか、放射能か。
あるいは美容師さんにすすめられたシャンプーの効果か。


出かける前にはドライヤーをあてて念入りに寝かす。
しかし、外に出ればすぐに元気を取り戻す。
季節が変わり、現在5〜6センチの長さに成長。
まだまだ重力に抗っている。
アンテナかタケコプター。
田植えをしたばかりの苗にも見える。



当の本人は夏バテだというのに、つむじだけが今日も元気いっぱいだ。