伝えると伝わるはちがう


国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)の報告会で
私が所属している「余暇のUDプロジェクト」が取り組んでいる
「CMにも字幕を」の報告をさせていただきました。
普段は個人としての講演が多いのですが、今回はプロジェクトとしての発表です。
2006年からずっと一緒に活動をしてきたプロジェクトメンバーは
もはや家族のような頼もしい関係です。



質疑応答で「聴覚障害者にとってのCMの価値とは?」と聞かれました。



聞こえない私たちには、
CMの内容がわからなければ、その価値すらもわからないのです。
聞こえる家族と一緒にテレビを見ていて
「CMの時間は置いてきぼり」という声も聞きました。
「昔からCMの間はトイレタイム」という声も。


つまりは、トイレ以下の価値ということです。


今は「CMを見てもらえない」という広告主の声もあります。
ドラマなど録画するとCMを飛ばすスキップ機能もあるくらい。
CMを見てもらうために、クリエイターはきっと
様々な知恵を凝らして、時間も予算もかけてCMを作っていることでしょう。


人の心を震わせるようなCMだってあるはずです。
笑わせたり、共感させたり、強いメッセージ性もあるはずです。
でも、広告って「伝える」だけのものではないんですね。
そうした素晴らしいCMは
「伝わる」ことではじめて「価値」が生まれるものなのです。
字幕のついたCMを見て、初めて商品のことがわかり
興味を持ちます。
買いたい!という気持ちも芽生えるかもしれません。
字幕を付けてくれた企業に対しては評価が高まります。


「伝える」と「伝わる」はちがう。
こういうことなんです。


私たちが商品を購入するお金のいくらかは
広告費にも使われているはずですものね。
だとしたら、企業はあらゆる消費者に同じ情報を
伝える努力をするべきだと思います。
こうした声を伝えていくことで、もっともっと共感してくれる人が
どんどん増えていくといいなと思います。
明日もまた「字幕」をテーマとした講演会、頑張ってきます!