めぐりめぐって


銀座和光のショーウィンドウに関わったことがある。

今も活動をしている「共用品ネット」(当時はE&C project)で
http://kyoyohin-net.com/
銀座一帯をバリアフリーにしちゃおう!という壮大なイベントがあった。
1997年ころのこと。
銀座一帯のお店のバリアをなくし、バリアのないおもてなしを発信していこうという試み。
ソニービルでは、使いやすい商品の展示会を開き、
ビクターホールではバリアフリーコンサートを開き、
「じゃあ、銀座四丁目の和光ショーウィンドウでは手話でメッセージを発してもらおうよ!」
そんな思いつきを口にしたら、どんどん盛り上がった。
当時(今も)一緒に活動をしている仲間が、セイコーと縁があった。
和光ビルの時計はセイコー製だ。
そんなこんなで、仲間に連れられて和光の方に提案するチャンスが。

当時22歳、社会に出たばかりで右も左もわからぬ私は
「聞こえない人の言葉である手話を、ここから発信してほしい」と
稚拙なデザイン画を見せて、思いのたけをぶつけた。
「できるかどうか分かりませんが、とても面白いアイデアです」
そうおっしゃってくれたのは、
和光のショーウィンドウディスプレイの数々を手掛けてこられた八鳥治久さん。
この世界の巨匠。
世界を超えて著名な方だと知ったのは後のこと、
若いって恐れ知らずだ。


ショーウィンドウを前にして、感激のあまり言葉がでなかった。
紫のドレスに身をまとったマネキン10体が、しなやかにポーズをとっている。
紫と、深いグリーンと、ゴールドのそれはとにかく美しい。
マネキンだから表情がなく、とてもクール。
だけど実は「愛」というメッセージを発信している。
そう、いくつか提案をした中から選ばれたのは、「愛してる」という手話。
イベント終了後、打ち上げで酔っぱらった仲間たちと
和光ショーウィンドウ前の交差点をタンバリン打ちながら行進した。
「前向きな言葉で提案をすれば実現する」若かった私を勇気づけた出来事だった。


そんなこともすっかり忘れていた去年
「えにしの会」で長年お世話になっている大熊由紀子さんから
久しぶりにメールをいただいた。
大熊さんが教えられている、国際医療福祉大学大学院の学生さんが八鳥さんの奥様だと。
奥様である藤原瑠美さんから直接メールをいただき、感動。
当時私が出したお礼状を、八鳥さんが今も大事に持っている、と写真を送ってくださった。
私は、当時いただいた八鳥さんのお名刺を、今でも大事に持っていると伝えた。

そうして今は、素敵な奥様を通して著書を送りあったり
フェイスブックでやり取りさせていただいている。
めぐりめぐるめぐり合わせ。
人のえにしって面白い。


興味があればぜひ!
八鳥治久さんインタビュー記事
「見てたのしんでいただくこと、そんなもてなしのデザインを心掛けてきました」
という言葉が響きます!
http://www.i-sys.info/serial/interview/2/hattori.html