富士山より大きなエネルギーをもらった講演会


山梨県とご縁があり、毎年いろんなところから講演の依頼をいただいています。
今年は、富士吉田市立下吉田中学校のPTA主催講演。


時期は11月の紅葉が一番美しいとき。
ちょっと早めに着いて、高台から富士山を堪能。
我が家のベランダからも東京湾の向こうに富士山が見えますが
それをはるかに超えるスケールで迫ってくる雄大な姿は見ていて飽きません。
富士山を見るとなぜこんなにテンションがあがるのでしょうね。
思い切り気分がアガッった状態で、会場となる中学校へ。
廊下ですれ違う生徒はみんな笑顔で「こんにちは!」と挨拶してくれます。
ちょうど講演前の授業は、授業参観になっており
全クラスが講演のための事前学習をしていました。
教室を覗くと「松森果林さんについて」とか黒板に書かれていて嬉し恥ずかし。
事前学習付きの講演は珍しいです。



体育館で全校生徒が対象でしたが、びっくりしたのは保護者の多さ。
PTA主催といえども、平日の昼間に子どもたちとともに保護者がこんなに集まるのは
すごいことです。



富士山のふもとでの講演会はいつも気持ち良く
質疑応答では、生徒からも保護者からも先生からもあり
とても活発で、楽しい時間でした。
終了時間となり、終わりの言葉を待つばかり…とホッとしていたら
何やら一部の生徒たちの動きが不審。
突然体育館の隅に行き、上履きをぬぎ、靴下を脱ぎ始めるのです。
先生方もそわそわとし、何が始まるのかと思いきや、太鼓が鳴り始め
数十人の生徒たちが旗をもってダダダッと駆け寄ってきました。
なんと応援団の登場です。
壇上にいる私の下に整列し、太鼓に合わせて校歌斉唱。
応援団とともに、他の生徒たちも手を後ろに組み
お腹の底から声を出して歌っている様子。
思いがけないサプライズ演出に、言葉が出ないとはまさにこのこと。


校歌が終わると、指揮をとる団長が
「私たちの声は松森さんには聞こえないけれど、気持ちが伝わるように精一杯応援させていただきます」
と一言。
そして始まったのは私に向けた応援。


フレーー!フレーー!まーつーもーりー!
フレッフレッまつもり
フレッフレッまつもりー


身体を後方にそらし、
全身全霊で声を出している様子に、思わず涙が。


人生で初めて応援団から応援をしていただきました。

音は空気です。
その空気を震わせて、私の身体全部に響いてきました。
体育館という空間すべてが共鳴していたように思います。
言葉の聞き分けはできないけれど、大きな声を出していることは
補聴器を伝わって感じ取れます。
自分の息子と同じ年齢の中学生たち全員が、私に向けてのエールを送ってくれたこと。
このエネルギーの大きさは、富士山以上のものでした。
きっと一生忘れないと思います。
伝わる、ってこういうことなんだなぁ。


後日全生徒から届いたのは、手紙形式の感想文。
辛かった経験や悩みを書いてくれる人、夢を語ってくれる人、様々な思いが届きました。

建築士を目指したいという生徒からは
「カッコいい家を考えるのも大切だけど、何よりも必要なことは
どんな人でも快適に、安全に暮らせる家を考えることなんだな」と。



今まで親のことが信じられなかったという生徒からは
「松森さんのお父さんの言葉に感動しました。
子どものことを心配しない親などいない。という今日の話を聞いて、
親のことを信じられるような気がしました。」と。



以前にも講演を聞いてくれたことのある生徒からは
「今回で二回目ですが一言ももらさないようによく聴いていました。
私は以前は色々なことをあきらめていました。でも今は違います。
松森さんの話をきき、自分にしかできないことを見つけようと努力しています。
みんなができないことを探すのではなく、自分しかできないことを見つけるのです。
そうすることにより、段々と人生が楽しくなっている気がします。」と。


そのほか、
「一度人生をあきらめた人からの言葉はとても重みがありました。
私は他の講演会などは正直眠くなってしまうのですが、果林さんの講演は
飽きずに面白く学べた講演会でした」


「心が動かされました。この講演のことは必ず忘れません。
そして松森さんの本を一生大事にしたいと思います。


「はじめは適当に聞いていればいいやと思っていましたが
話しを聞くうちに真剣になっていました。」


「聞こえない松森さんに届けられるのは何だろう?と
講演会に行く前に考えました。考え付いた答えは、
伝えようとする気持ちでした。共感できることがあればうなづいたり
姿勢よく話をきいたり、自分たちにできることを精一杯やろう!!と講演会に臨みました。
私たちの態度や応援は心に届きましたか?
応援は、元から声だけで伝えるものではなく心で伝えるものです。
松森さんも、そう感じていただけたら嬉しいです。」


「「みんなちがってみんないい」そんな学校を創っていくことをお約束します」


「受験前に松森さんの話をきけて本当に良かったです。」


良かった。
本当に良かった。
感想をもらうことで、その時のことを客観的に見直すことができます。
講演って、目の前にいる人たちの反応が直に分かりますし
聞いてくれた人ひとりひとりの思いがダイレクトに伝わってきます。
だからどんなに準備が大変でも、時間がかかっても、
みんなに伝える努力を惜しまず、手を抜かず、ひとつひとつを楽しみながら大切にしたいと思うのです。
そんなことを改めて心に思った講演会、
受験前の息子にも聞かせたかったなぁ(笑)