言葉を超えた対話から新たな関わりへ

「終わりははじまりのはじまり
はじまりは終わりのはじまりだ」


発案者であるドイツのハイネッケの言葉。
昨年ダイアログ・イン・サイレンス日本初開催のため来日し
研修期間をアテンド達と共に過ごしたハイネッケとオーナ夫妻、
オープン初日を迎えた日、この言葉を残して颯爽と帰国したのでした。


今年もまた、この言葉を思い出しています。


「静寂の世界」で「言葉に頼らず対話を楽しむ」という非日常の世界観に
29日間で約6000人ものゲストをお迎えしました。
昨年が3500人でしたので約2倍。
12人のグループで90分間のツアーを
一日20回の運営、駆け回った毎日でした。

男性と女性とでは、女性の方が多かったそうです。
昨年と比べて子どもが多かったのも特徴で
6000人のうち、約600人が子ども。
「子どもだけのユニット」も大人気でした。
外国人や、聞こえない当事者の参加も多く多様性に満ちていました。



静寂の世界は、私たち聞こえないアテンドにとっては日常ですが
聞こえる人にとっては「非日常」の世界です。
しかしここで体験したことを、日常につなげてもらうための
様々な工夫や仕掛けも考えられています。
「新たな関わり」。
ダイアログ・イン・サイレンスは、世界各国で開催されていますが
日本では、新たな関わりのための対話を重視しています。


日本人は古来から、日常の「ケ」の日と
お祭りなど非日常の「ハレ」の日を
使い分けてきました。
それはとても素敵な文化ですが
日々の生活の中では、障害のある人もない人も一緒に暮らしており
そこに境目や壁など隔てるものは本来存在しません。
日常と非日常をどうつなぐか。
研修の間も、自分がアテンドをしている間も常に考えていたことでした。
振り返ると、90分の一回一回が濃密な時間でした。



家族4人で参加した15歳少女。
対話の時間に涙が止まらず、やっとの思いで
「昨日までは文句を言ってるだけの自分でしたが
今、自ら行動し世界を変えたいと思います。
そのためにはまず自分を変えたい。」と。
家族の中で一人だけ聞こえないお父さんが
その様子を見守る姿もまた「静かな対話」でした。
対話って言葉を交わし合うだけではなく
見守ったり、微笑み合ったり、握手やハグをしたり
「言葉になるまでの時間」をみんなで共有するのも対話の一つなんだなと感じました。
「言葉のない対話」もまた心地よいと思えた今年。



私たちにとっても「ダイアログ・イン・サイレンス」という場と時間は
非日常であったことに気付くのです。
そして新たな関わりはもう始まっています。


主催者として、大きな愛とまなざしを注いでくれた
志村真介さんと季世恵さんに心からの深い感謝を。

今年のアテンドリーダーとして、夜な夜な作戦会議を繰り広げた
リーダーズ6名をはじめ
ともに駆け抜けたアテンド仲間、ボランティアさん、事務局やスポンサーの皆さん
応援してくださったすべての方へ海より大きく深い「ありがとう♡」を。


昨年は、フルーツポンチに例えていたのね。
<2017-08-30 「できない」ではなく「どうすればできるか」>
http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20170830