東洋大学での対面授業2021

東洋大学人間デザイン学科「製品と情報のUD」。
15年目の今年は新しい赤羽キャンパスで一年ぶりの対面授業です。
ユニバーサルデザインにおいて見落とされがちな聴覚障害の視点
きっかけとなった東京ディズニーランドのUD
これまで関わってきた空港やエンターテインメント
子育てからコロナ禍のコミュニケーションまで実体験を交えつつ、
学生にも身体を動かしてもらいながら楽しみました。
約230名のレポートにもすべて目を通しました。以下は印象に残ったもの。

■授業や進め方に関して
・松森さんが準備してくださったスライドのように、パッと見ただけで分かりやすい!という事は耳が聞こえない人に対してではなく、健常者にとってもありがたいことなので、そのようなことを考えて、シンプルなのにわかりやすい!をモットーにしてデザインしていきたい

・まず、授業を始めて最初に感じたのは場を自分のものにする力みたいなものを感じました。
耳が聞こえていないことを感じさせないくらいこちらの雰囲気を感じ取りながら
優しく反応してくれて、場がだんだんなごんで温かくなるのを感じました。
「聞こえないことは私の強みだ」と言い放った言葉が、やはり強く耳に残っています。
いろんな「聞く」や「聞こえない」を知っている松森さんは、
多くの人の立場に寄り添い、
自分も当事者として考えることができるんだなと、話を聞いて松森さんのその言葉に深く納得しました。

■大切な気づき
・楽しむことの大切さ。私は講演を聞いている間、ずっと笑顔で話してくださる姿をみて楽しむことが素晴らしいということを体現している方だととても伝わってきました。
・障害を持っているから助けるのではなく、困っているから助けられる人になりたいです

■コミュニケーション
・コミュニケーション手段は日本語でも英語でも手話でも何も変わらないことが分かった。それは、相手に伝えようとする意志の違いである。
松森さんは聴衆に目を合わせ、言葉をはきはきと話し、壁を全く感じず、とても美しかった。
基本的なことであるのに私たちが手話を毛嫌いすることに1つもメリットがない。
寧ろ多くの言葉が使えれば視野がひろがる。こんなに素敵なことはない。
だから、これから世界的にもより多くの人と関わるためにもコミュニケーションスキルを磨いていきたい。

■視点の転換
・「どんなにうるさい場所でも眠れるし、集中できる」や「強みは聞こえないこと」
「聞こえないからとあきらめたり、不満・怒りを訴えたりするんではなくどうしたら楽しいか考える」
という言葉から伝わってくるように、松森さんのポジティブシンキングさには驚かされた。
不謹慎に聞こえるかもしれないが、そんな能力は私も欲しいと思ってしまった。
加えて新しい能力が備わったと考えると障害と呼ぶこともどうも間違っているように思えてきた

■新たな発想
・音が見える空間を作ってみたいと感じました。
私たちが普段生きてる世界と同じ環境に触れることができ、
逆に、聞こえる私たちがその空間にいることで、聴覚障害者の世界に入り込み、
他者理解にも繋がるのではないでしょうか。
それぞれの当たり前を払拭したいです。
・最近コンビニなどで増えているタッチパネル式の販売や接客で
聴覚障害を持つ方はこの表示を触ってください」と切り替えができるシステムも良いのでは

■テレビCMの字幕
・大きい音が好きじゃないため普段から字幕をつけてテレビを見ていますが
先日CMの字幕について丁度家族と話していました。
その際にCMの字幕の必要性を見つけられなかったことから
自分の価値観でしか考えれていないことに気が付きました。
とても貴重なお話が聞けたので嬉しく思います。ありがとうございました。
人の立場に立って考えることが重要だと思いますが、人はなかなか主観から抜け出せないので様々な人の意見を聞き取り入れることで良いデザインにしていきたいです。

■映画館
・最近、映画館での注意事項として
「補助のためスマートフォンを操作しているお客様がいる場合があります」という説明があります。実際に使っている人を私は見たことがないが
誰でも映画を容易に楽しむことが出来るようになりつつあるのかなと実感しました。

■自分らしさとは?
・「普通」という価値は、自分の中で作り上げているモノ。
自分らしく生きるためのは、周りに合わせた生き方ではなく世界は多様性に満ちているように、
尊重し合いながら共存することが大切。
私はこの言葉は障害の有無にかかわらず、大切にしていかないといけない言葉であると感じました。

■講義後の変化
・講義の次の日バイト先のファストフード店聴覚障害のお客さんがいらっしゃって、注文のやり取りを口頭ではなく身振り手振りで行いました。
私の伝えたかったことがしっかりとお客さんにも伝わったようで、
円滑に注文を受け、商品を渡すことが出来ました。
もしこの講義を受けていなかったら、今日のようにちゃんと相手に伝える為のコミュニケーションがとれたか分かりません。とても貴重なお話をくださった松森さんに本当に感謝していますし、その事をいかせたことがとても嬉しかったです。

講義を受けた後の変化はことさら嬉しいね。

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