筑波技術大学デザインプロジェクト実習の集中講義2日目は

筑波技術大学デザインプロジェクト実習の集中講義。
この授業では「聞こえないからこそ」
「私だからこそ」の視点で社会の課題に気付き
解決するための提案を目指し、様々な事例紹介や
調査を実体験をします。
 学生たちは全員聴覚障害がありますが、
聞こえ方やコミュニケーションは様々。
集中講義2日目は、羽田空港第3ターミナル(国際線ターミナル)のユニバーサルデザイン検討委員会の
事前視察会という位置づけでUD調査を開催。
この第3ターミナルは2010年運用開始しましたが
UD検討委員会は2007年から開始して以来、今も関わっております。
コロナ禍で、オンラインが中心だった学生たちに
リアルに現場を見てほしいと思い
つくばから空港までの直行バスに乗せて遠路はるばる学外実習です。

午前中に集合して全員で事前チェック。
午後からは主催者と合流し、空港スタッフの説明を聞きながらの調査。
普段は入れない制限エリアや飛行機の搭乗口までチェックします。
学生たちは熱心に耳を傾け、メモをとり
意見交換会では沢山の空港スタッフに囲まれて緊張しているのに
各自が堂々とそれぞれの視点で
好事例、意見、議論が必要な点などを発言していました。
長い一日が終わり、空港の顔ハメ看板に全員をはめて爆笑し
全員で展望デッキに出ると
夕暮れの風がいい感じ!
この授業ではできるだけ対話を重視しています。
「あるデザインについてネガティブなイメージという話がでた。
その意見が出るまで、自分は何も感じなかったため、
そういう見方もあると理解した。
同じ障害を持つ同士でも、対話を通して自分では気づかないことが見えてくる。」
という感想があり、
正解を求めるのではなく「視点のちがい」に興味を持ち
発見し合える「対話」を改めて重ねていきたいと思いました。
また
「これまで聴者に合わせて我慢し
自分を守ってきた生き方を振り返り
少しでも生きやすくなるため、人生を楽しむために
自ら動いていく土台を作りたい」と伝えてくれた学生もいます。
それだけでなく
「かつて聴覚障害のある方々の活動のお陰で
現在自分たちは車を運転したり、手話で学ぶことができている。
しかしまだ解決できていない課題について、将来自分を含め
次の世代の聞こえない子どもたちのためにも
現状を知るだけでなく自らできることに取組んでいきたい」と
次世代にも思いを馳せている学生も。
とても嬉しいし、授業を重ねるのが楽しみです。
今回の調査で見つけた課題は、どうすれば改善できるのか
今後、プレゼンテーションする機会を設けます。ドキドキ。
後日空港スタッフより
「空港内を猛ダッシュしている松森先生」目撃情報が。
あぁ…それたぶん忘れ物に気付いて猛ダッシュしていたときです、ハズカシイ。