まだ繰り返す?日本語台詞に字幕がつかない洋画問題、ブレット・トレイン早く降りたい私

ブラッド・ピットが主演の新作「ブレット・トレイン(超高速鉄道)」
封切りと同時に鑑賞。

運の悪いブラビと、個性あふれる殺し屋が車内に大集合。
事情を知らされないまま巻き込まれ、東京から京都まで
「早く降りたい」とボヤキつつも闘い続けるブラピがとても楽しい。
伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』原作なので
日本の新幹線が舞台ですが、撮影はハリウッドなんですね。
「外国人から見たジャパン」あるあるネタも盛りだくさん。

勢いがあって「乗ったら最後!降りられない!眠れない!爆笑!」
そんな作品でしたが、一つとても残念なことがありました。

嫌な予感はしていたのですが、やっぱり「洋画に日本人出演あるある」。

「洋画は字幕があるのに、日本人キャストが出ると日本語台詞は字幕がつかない」

これが日本の不思議な上映スタイル。
言葉のちがいに関わらず、音声はすべて字幕をつけてほしいのです。

洋画は英語を翻訳した字幕が出るのですが
冒頭から日本の場面、日本人同士の日本語のセリフには字幕がないのです。
「日本人が観るのだから日本語の音声があれば字幕はいらないだろう」
そんな考えだと思いますが
字幕を頼りにしている聴覚障害者には内容が理解できません。

同じ日本人なのに、日本人のセリフだけ理解できず
やっとのことでブラピが登場!
英語のセリフなので、字幕でどんなにほっとしたか。
「さすがブラピ!ブラボー!」と心の中で拍手し
ブラピの存在価値が思わぬところで高まります。
その後も、たびたび日本語のセリフだけ突然分からなくなること数回。

聞こえる人にとっては「突然音声がなくなる」のと同じです。
こうした状況は、聞こえる人にとっては放送事故と同等の扱いになるでしょう。
聴覚障害者にとっても、字幕が途中で欠如するのはそんな感じなのです。
重要な台詞が分からないと、内容の理解ができないだけでなく
聴覚障害者として「取り残された」という残念な気持ちになりますし
一緒に映画を見に行った聞こえる家族や友人達にも
「一緒に楽しめなかった」という残念な気持ちが残ってしまいます。

洋画に日本人が出演し、日本語での会話があっても
言葉のちがいに関わらず、音声はすべて字幕をつけてほしいのです。

こうした事例は、これまでもいくつかの作品であり
そのたびに多くの聴覚障害当事者が伝え、改善につなげてきた事例があります。

2017-01-06『沈黙』できず。
https://karinmatsumori.hatenablog.com/entry/20170106

2017-01-26『沈黙』2/5〜6のみ日本語字幕上映決定
https://karinmatsumori.hatenablog.com/entry/20170126

日本人のろう者が出演したのに、字幕がなかった洋画「バベル」は
署名運動から世論を動かし字幕がついたのが2006年。
2013年「障害者差別解消法」が
今年5月には「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が施行されています。

まずは映画の配給元であるソニー・ピクチャーズさんのWEBサイトから
要望をお伝えしてみようと思いますが
こうしたことが繰り返されるとモチベーションも下がりますね。

今作に関わる方々は、早急にご対応いただけると嬉しいです。
洋画も邦画もあらゆるエンターテイメントを、
障害のあるなし関係なく楽しめるようにしたいと思います
スクリーンの中でのキレッキレなブラピをみながら
運が悪いのはあなただけじゃないわ、私もよ!
とおかしなツッコミを入れつつ
何も知らずに乗り込んだブレット・トレイン、いまだに降りられずにおります。

「早く降ろして~!」