暗闇のラストマン・イン・ザ・ダーク~ヘレンケラーからの聖徳太子からの耳なし芳一

「ラストマン・イン・ザ・ダーク」8人で貸切体験してみました!
真っ暗闇の中でTBSドラマ「ラストマン ―全盲の捜査官―」の
福山雅治さんが演じる皆実捜査官の世界が一部再現されています。
ご一緒したのは井戸端手話の会のメンバー。
気心知れた仲間だから安心して身を委ねられるし安心して触れられる。
この安心感が貸切の良さです!
私たちのバディとなるのは「はなやん」
彼は見えないけれど、簡単な手話ができるのです。
聞こえて手話もできる心強いオカン仲間7人と
見えない聞こえないヘレンケラー状態となる私との、それはまさに未知との遭遇
「お互い助け合い、楽しみながらラストマンの世界を冒険するぞー!」
と意気込んで集合したものの
暗闇でのコミュニケーションどうする?
手話は触れば分かる?
試しにみんなで目を閉じてやってみる。
「意外と……わからないー笑」
手の平に書いたらわかる?
目を閉じて書いてもらう。
「え、ちょ…ひらがな?カタカナ?どっち?え漢字?分からないー笑」
そんなこんなで、ひとまず
「進め」「止まれ」の合図だけ決めて
皆実捜査官のスイートルームに突入。
あ、聞こえないゲストの場合は「鈴」をつけます。
だれですか「熊よけ?」といったのは。
「ここにいるよー」ということを伝えるためですね。リンリン。
さて私にとっては何度目かの暗闇。
見ること、そして見られることからも解放される暗闇は
私にとっては解放感にあふれた自由な世界。
スキップしたくなるほどですが、隣のダレかが
私の腕を強く握っています。
私の暴走を止めようとしているのか
怖くてしがみつかれているのか分かりませんが
手が離れたタイミングで、自由に歩き回ります。リンリン
あちこち触りまくる私はヘレンケラー。
「これはなに?」と思わず声を出すと
ダレかが私の右手のひらを取ってナニかを書くのですが
一回では分からずもう一回もう一回とやってると
別のダレかに交代した様子。
手の感触がちがう。
あれ?さっきまでカタカナだったのに今度はひらがな?どっちやねーん
するとダレかが私の背中にナニかを書きはじめ
さらには別のダレかが私の左手に触れて
手話で伝えようとしてくるのです。
みんなが私に伝えようと必死なのですが
私は私で意識の集中を右手にするのか
背中にするのか、左手にするのか必死。
10人の話を聞く聖徳太子状態。
とてもそんな能力はなく、
暗闇の中で全身に文字を書かれる耳なし芳一か。
笑ってしまい集中力が続かない。リンリン
カタカナの「ス」と「マ」の区別がどうにも分からないカオスなヘレンケラーに、
ふっと温かくて大きな手が触れたのです。
「はなやんだ!はなやん?」
「そうそうそう!」と手首でうなづいてくれる。
そうしてはなやんが手の平に書くと不思議なことに理解できるんですね。
指の腹をしっかりつけて、落ち着いて書いてくれるからなのかな。
なんでしょうこの絶大な存在感。
その後も、私が一人で暗闇を謳歌していると
必ずはなやんが回収にきてくれるのです。
なんで私の場所わかっちゃうの?暗闇では逃げられないのね。リンリン。
暗闇での皆実捜査官のスイートルームを堪能し
不思議と他のメンバーとの暗闇コミュニケーションにも慣れて
手の平書きや触手話で意思疎通ができるようになってきます。
そんなころ、終わりの時間が近づいてきました。リンリン。
最後に小さな明かりが見えたとき…
元の世界に戻ってきただけなのに
まるで別の世界が現れたような、
それこそ「未知との遭遇」のような感覚でした。
終わった後、興奮冷めやらぬメンバーとの
「アレは何?」
「あのときは」
「あそこは」
「アナタ触ったわよねw??」と
同じ空間にいたはずなのに、体験や感じたことは
微妙に違っていたり、答え合わせのような時間はまさに井戸端会議。
ヘレンケラーからの聖徳太子ならぬ耳なし芳一
ラストマンからの井戸端会議。
体験後のランチでは「Water」ならぬ「Beer」と叫んだ私でした。
体験後もそのままの余韻を
そのままのメンバーで楽しめるのが貸切の良いところ。
聴覚障害者専用のユニットもまた増えるといいな。
通常の「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」でもできるといいですね。
ラストマン・イン・ザ・ダークは6月30日まで
https://lastman.dialogue.or.jp/
ぜひこの機会にどうぞ!

以下メンバーの感想を一部ご紹介。
■はなやん、すぐにみんなのニックネームを覚えてくれて
迷ってると『はなやんはここだよー』って声をかけてくれて
心強いバディでした!
■終わり近くなると、暗闇が、少しだけ優しく心地よく感じられてきました。
私たちには眠っている感覚があることや、自分が無力な世界で、
周りの人たちと繋がる心地よさも感じられた貴重な体験でした。
■暗闇から抜け現実の世界に戻ったとき、
"これがいまの自分の居場所"!と気づかされ
精一杯感じ生きて行くことを思いました。

視覚以外の感覚を研ぎ澄ますことで見えてくる新たな世界。
一緒に行ってくれた井戸端手話の会のメンバー、ありがとう。

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