麦秋の季節、シルバー大学で

金色のふわふわと輝く麦畑が、あっちこっちに広がっている、これが栃木の印象。

私の仕事の一つ、講演会では様々なところで様々な人を対象に行っているが、毎年楽しみにしているのが栃木県にある「シルバー大学校」での講演。
栃木県シルバー大学校は三つの地域にあり、その中の中央校では人数が多いため二回に分け、計四回の講演だった。
入学条件は60歳以上となる。中には80代の方も。

どの学校も120人〜140人くらいの生徒さんが参加されていたが、とてもエネルギッシュでパワーに満ち溢れており、還暦を迎えた方々とは思えないくらい。
学習意欲も高く、私の問いかけにも積極的に反応し、応えてくださるのが本当に楽しく頼もしい。


何よりも素晴らしいと思うのは、授業の開始時、休憩に入るとき、休憩が終わって後半に入るとき、終了したとき、それぞれきちんと挨拶がされること。
日直さんのような方がおり、

「起立」席を立って、背筋を伸ばし

「礼」深くお辞儀をし、

「着席」静かに腰を沈める。

そんなさりげない動作の一つ一つが美しいと感じた。
学校によっては、「礼」のときに「こんにちは」という手話が出たりする。最後には「ありがとうございました」と全員が手話でやってくださり、大感激。事前に全員で覚えてくださったのだろうか。
私は一般の大学でも講義を行うが、このような一連の挨拶は省略されることも多い中、とても新鮮だった。

スタッフの方が、毎回私のためにとお弁当を作ってくださり帰りの新幹線の中でいただいたのだが、美味しいこと美味しいこと。この歳にもなると、お弁当を作ることはあっても、作ってもらうことなんてなくなるから本当に嬉しい。
歳を重ねても尚、勉強し、ともに学ぶ仲間がいるというのは素晴らしいことだと思うし、こんな場がもっと全国に増えていったらきっと楽しいだろう。
全部の講演を終えた帰りの新幹線で、手作りお弁当をいただきつつ、麦畑を眺めていた。