金魚のエサは臭くてマズイ

小さな赤ちゃんは、手に触れたものはまず口に入れる。
音がすれば耳を澄まし、嗅覚も敏感。世の中のあらゆることを五感を使って確かめている。
そんな中で、自分にとって心地よいもの、気持ち悪いもの、
美味しいもの、美味しくないもの、
良い匂い、いやな匂いといったことを覚えていく。


「子どもたち、うちで金魚のエサを味見してたよ!」


・・・・金魚のエサ。臭かったらしい。


ソラとK君とで、お友達の家に遊びに行ったときのこと。
その家には、15センチくらいの巨大な金魚がいる。
ママが、子どもたちにエサをあげていいよと言ったところ、喜んで金魚のエサやりをはじめた子どもたち。ところが、金魚はでかいので、エサを持っている指に噛み付いてくるのだという。
それが面白かったらしく、何度も指を突っ込んでは金魚にくわえさせ、いつのまにやら肘まで水槽に突っ込んでの
「金魚のつかみ取り大会」になっていたとか。
その後、金魚のエサを見て、臭いをかぎ、美味しいかどうかの「味見大会」。

これだけでもあきれるのに、先日ザリガニ池に行ったドブ川メンバー。
ゲットしたザリガニを誇らしげに手に持ち、ひとしきり遊んだあと、何を思ったのかザリガニの長いひげを
ベロンとなめたのだという。


「ぞくぞくした。」


聞いている私も、ぞくぞくします・・・・・・。母涙


ザリガニを捕まえるときには、ぶくぶく・・・というような音も重要な情報源なのだとか。
目を見張り、耳を澄まし、素手で捕まえ、嗅いで、舐めて、確かめて。

小学校三年生になっても、赤ちゃんレベル?
いや、三年生になっても本能で生きているような子どもたちの毎日の生活は、五感を駆使して豊かな情感溢れた日々なのだと思う。
ゲーム社会といわれる現代、仮想現実の世界の中で、人の痛みや気持ちが分からなかったり、逞しく生き抜いていく力が弱くなっている。
そんな社会の中で、実体験というのは何よりも多くのことを学ぶことができる。
もちろん、絶対にやってはいけないこともあるし、それはきちんと教えつつ、
汚いことも、臭いことも、危ないことも、楽しいことも、嬉しいことも、すべて身をもって経験することで初めて理解でき、その後の人生の糧となるのだと思う。


「どぶに落ちれば臭い」
「川の水は冷たい」
「ザリガニに挟まれれば痛い」
「金魚のエサは臭いしマズイ」
「ザリガニのひげはぞくぞくする」

あたりまえのようでいて、あたりまえを知らない子どもたちが多い中、自然の中でどんどん経験してほしいと思う。