大きなお世話と小さなお世話

karinmatasumori2009-04-14

春休み、新潟の両親の家に行った。
実家は居酒屋「舟宿」
http://www.hotpepper.jp/report/J000691522.html

両親二人で経営をする小さな居酒屋だ。
毎度のごとく、夕方になるとカウンターに座りながらビールを飲み飲み、両親と話をしたりする。
お刺身をつまみつつ、娘なんだかお客なんだか分からない。

だんだん常連さんが集まってくると、カウンターはいっぱいだ。
常連さんたちは気さくに話しかけてくれるのだが、ほとんどのお客さんは私が聞こえないことを知っているため、口の形をはっきりとさせて分かりやすいコミュニケーションをしてくれる。


春休みに久しぶりに行くと、いつの間にか左隣の常連さんとの筆談が始まり、思いのほか盛り上がってしまった。
通常、聞こえない私が飲み屋で、初対面の人と、しかも筆談で盛り上がることなどほとんどない。
(酔っ払って知らないお客さんに一方的に話しかけちゃうことはしょっちゅうだが。)

聞こえる友人が、一人でぶらっと入った飲み屋で、隣のお客さんと話が合って仲良くなった、という話を聞いてはうらやましいなーと思っていた。
筆談コミュニケーションを楽しめるリズム感のある人はなかなかいないからだ。


そうやって盛り上がっていると、私をはさんだ反対側のお客さんも入ってきた。
何かを話しかけてくれるが、読唇ができずにいたら、
それまで筆談をしていた左隣のお客さんが私の頭越しに
「聞こえないから書いてやるといいよー!」
みたいなことを言ってくれたようだ。
こんな小さなお世話でコミュニケーションが楽しくなる。
お猪口と箸とペンとメモ用紙があっちこっち行ったり来たり。

昨日のブログに引き続き、「お世話ネタ」で書いてみたが、こういうのは小さなお世話とかではなくて、ちょっとした気配り。

こんな気配りができて、なおかつ楽しくお酒が飲めるお客さん達に恵まれている「居酒屋舟宿」
大将と女将の人徳なんだと、娘としてではなく一人の客としてそう思った。


その晩、閉店時間が過ぎても盛り上がっていたのは言うまでもない。