良い循環

羽田空港の新国際ターミナルがオープンして、二ヶ月ですが、引きもきらず混雑している様子です。
オープン当初、個人的にも問い合わせが多かったのが、案内所のカウンターにあるWebカメラ付モニター。


「これって、テレビカメラでの手話対応のためだよね!?」


Webカメラやテレビ電話を利用した手話通訳案内サービスが増えている昨今、聴覚障害者であればそう思うのも当然といえば当然でしょうか。
その場に手話ができる人がいないとき、手話ができる人と繋いで、テレビ電話を通して手話通訳をするシステムです。
これがあれば、手話で対応する人は通常は自分の業務を行い、必要なときだけ対応するということができます。

今回の新国際ターミナルのUD議論では、コンシェルジュが多言語に対応できるのと同じように、最低一人は手話もできる人を配置してほしいという要望もありました。しかし、24時間体制であることや、費用対効果など、総合的な見地から実現には至らなかったのです。
でも、コンシェルジュの中には、手話を勉強している方もおり、少しずつ手話でも対応ができる人が増えていけば……。そんな風に思っていました。

ですから、運用開始時も、将来のためにWebカメラはあるけれど、現時点では使われていない状態だったのです。


ところが。


Webカメラで手話対応ができるらしい!」そんなウワサが?つぶやきが?チョロチョロと広がっていきました。
「それじゃ、ひとつ試してみよう!」とばかりに、訪れる聴覚障害者が増え、必然的にコンシェルジュもできる限りの手話で対応するようになり、試しにやってみたWebカメラでの手話対応が想像以上に喜ばれ、じゃあもっと積極的に使ってみよう!!


と、そんな流れが生まれてきているように思います。
こんな良い循環ってなんだか嬉しいですね。
手話での対応がイマイチだと文句をつけたりせず、一生懸命さに共感し、賞賛の言葉をおくることが、現場の方たちの励みと行動と自信に繋がるのだと思います。
空港には「お客様の声」を集めるポストのようなものが、沢山設置されています。
そういう意見箱に、意見だけでなく
「嬉しかった」
「もっと頑張ってほしい」
「手話ができる人がもっと増えると嬉しい」
そんな前向きな声を伝えてみるのも効果的。


ユニバーサルデザインのスパイラルアップが、目に見える形で実現していくって、わくわくしますよ〜。