初めての歌舞伎座

連休中、取材を兼ねて歌舞伎を観に行った。
一等席での優雅な一人歌舞伎。


柿葺落五月大歌舞伎の第三部。
一、梶原平三誉石切(鶴岡八幡社頭の楊)
二、京鹿子娘二人道成寺(道行より鐘入りまで)


一番の目的は「字幕ガイドサービス」
字幕ガイドはとは「目で読む」新しいガイド。
音声解説でもイヤホンガイドと同じ位置づけだという。

モニターのついた機器を1000円払って借りる。

「解説チャンネル」と「台本チャンネル」の二つがあり
「解説チャンネル」では
セリフや詞章の要約、場面の状況などをわかりやすい解説で伝えてくれる
「台本チャンネル」では
上演台本の内容をそっくり表示してくれる。
セリフや唄の歌詞などすべて出てくるので、聞こえない人でも内容が分かるというもの。
とはいえ、歌舞伎の口上の独特の言い回しや、漢字の読み方のむずかしさなど慣れるまでに時間がかかった
素晴らしいシステムに感激。


詳細は、某誌の記事に書くのでここでは省くが、
印象に残ったシーンが。


二幕の道成寺で、白塗りの修行中の僧が10人程出てくる。
全員で和傘を持って踊るシーンがあったのだが、踊り半ばで一人だけ傘が開いていない僧がいた。
よく見ると、傘の柄がもげてしまったよう。
しかしそこはプロ。
他の僧が傘を開いたり閉じたりと舞うなか、言われないと気づかないほど違和感なく合わせていた。
初日からこんなハプニング、肝を冷やしたことだろう。
僧が傘を閉じて舞台袖にはけていくとき、傘の柄を落としそうになっていたのもまたコミカルで面白かった。

再来週もまた行ってみるので、その時にでも続編を。


改めて、
字幕や手話通訳などの情報保障というと、学校や病院、あるいは仕事や講演など、公式な場面が中心だが、
やっぱり「生活を楽しむ」場面でもあきらめたくないと思った。
演劇、コンサート、お芝居、舞台、興味をひくものはたくさんあるが
「聞こえない」ことであきらめてきたものは多くある。
「楽しみ」は生活を豊かにする。