日本で最初の差別禁止の基本方針が閣議決定

【障害者差別解消法の基本方針が2月24日閣議決定されました】
僭越ですが、昨年から内閣府の障害者政策委員会の委員として「障害者差別解消法」に関わっております。
名前の通り、あらゆる人が共に生きる共生社会の実現を目指す法律で2016年4月から施行予定です。
この法律を、施行後うまく運用できるようにと
「基本方針(障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針)」の素案を昨年まとめました。
それが2月24日の閣議において決定されました。
日本で最初の差別禁止の基本方針です。


障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/kihonhoushin/honbun.html


就任した当時は右も左も分からず、様々な方のご指導をあおぎながら勉強をしてきました。


私の立場は
中途失聴者であり、
障害のない世界と、障害のある世界、両方を経験し比較できる
ユニバーサルデザインを専門に実社会の中で働いていて
女性であり
子育てをしている母であり、主婦でもある」


将来を担う子どもたちを育てる母親や、子どもの視点、
障害のある女性など、多角的な視点を持ちつつ、
生活感もあるという立場で関わってきました。
これまでどちらかというと男性目線で進められてきた審議や議論に、
生活感のある女性が入ることで、視点を広げることができるのでは、と思っています。


この基本方針の素案について、昨年パブコメを募ったところ、
1097件、意見総数を加えると1730件も集まったそうです。
千件を超える意見があったことはとても重要です。


たとえば、
<合理的配慮の基本的な考え方>については
「障害者の状況・状態が変化することもあるため、提供する合理的配慮については、
適宜見直しを行い、より適切なものとなるよう努める旨を記述すべき」


<行政機関等に対しては基本的な考え方>については
「特に、警察や消防、救急に関わる職員への研修・啓発をお願いしたい」


<環境の整備>については
「アクセシブルな電子書籍の出版やホームページの作成を義務付けるべき」
「公共機関や店舗でテレビを設置する場合は必ず字幕放送でも見られるようにしてほしい」


など、ごもっともな意見もたくさん。反映されたものもあります。
そのほか、嬉しかったのは、


<法の対象範囲>について
「女性である障害者が困難な状況に置かれている場合があることは
大切な観点であり、当該記述を評価する。」
<環境の整備>について
「「情報アクセシビリティの向上」に言及していることを歓迎する」


という評価の声も複数あったこと。
これまで、各委員が厳しいスケジュールの中で各々の立場で議論を重ねてきました。
全てが納得できたわけではありませんし、力不足を感じることも多くありましたが
「女性であり障害がある」という立場を一貫して訴えてきた立場としては
基本方針に記述できたことはもちろんのこと、評価の声はとても嬉しいものです。
傍聴に来てくださった方々からも、沢山のアドバイスを頂きました。


意見募集結果は下記内閣府のサイトから見られます。
るびなし(PDF形式)
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/kihonhoushin/pdf/iken_kekka.pdf
テキスト形式
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/kihonhoushin/txt/iken_kekka.txt



最後に、パブコメの中でとても素晴らしい意見がありました。
「当事者が率先してこの法律を広め、行政と一緒により良いものを作っていきたい」


こんな風にして、明るく前向きな声は、関わる人々のモチベーションにつながります。
今後は、対応要領(方法や手段)対応指針(方針)が作成される予定です。
引き続き皆さんの応援とご指導を仰ぎながら、尽力していきたいと思います。


ところで、こうした閣議決定がされる国会の様子ってNHKで生中継されていますが、これって字幕も手話もつかないんですよね。
いろいろヤジが飛んだりするらしいですが、こういうのだって知りたいんです。
(聞かなくていいことばかりだよ!って聞こえる人は言いますが。笑)