障害者政策委員会ワーキングセッション1(二回目)

6月12日内閣府障害者政策委員会でワーキングセッション?
成年後見制度も含めた意思決定支援など」(第二回目)が開かれました。
コーディネーター:田中委員、玉木委員、野澤委員
参考人佐藤彰一国学院大学)、都築美幸(愛知太陽の家)、 細川瑞子(富山育成会)
出席委員:15名


成年後見制度」というのは精神上の障害 (知的障害、精神障害認知症など)により
判断能力が十分でない方が不利益を被らないように支援するための制度です。

日常生活の中で、買い物や銀行等で私たちは様々な判断や選択をして生活しています。
障害がある人や認知症であっても、「自分の意思で決める」本人尊重の考えが大事ですが
その権利を守るための課題や、現行制度を改めていく必要性、
そして何よりも、「意思決定」の前に「意思疎通」も必要です。


この分野は、
「まだまだ勉強中なので誤解を招く表現があったらお詫びします」と前置きし
今回のセッションで私が気になったのは、


後見人制度でトラブルがあった場合、後見人等解任という形で終局した件数が
平成12年は37件。年々増えていき
平成26年には692件という数。
一日に2件解任されていることになります。
この数字に対して、委員から分析が必要だという声も。
解任の理由としては、財産の不正使用などとのことですが
それは後見人である親族が一番多いとか。
なかには専門職の方の不正もあるけれど、
専門職の場合は不正発覚後の自分のリスクが大きいんですね。


成年後見制度の適正な利用促進のために、
本人の意思に沿っているか、意思疎通が図れているのか
グレーゾーンが大きく、場合によっては法改正や、意思決定支援を使った運用仕組みを
作っていかねばならないことが分かりました。

終わった後も、玉木委員と「難しいね」などと話していました。
(ちなみに玉木委員は、NHKバリバラのMCで、簡単な手話を使ってくれます)


最後に、このセッションでは、「後見制度と意思決定支援」がテーマですが
対象項目に、第三次障害者基本計画の「8.差別の解消及び権利擁護の推進」も入っているので
テーマとは直接関係ありませんがひとつ発言させていただきました。


■「P78(2)-1障害者虐待防止法」について
虐待防止法の最新報告では、虐待被害者のうち、62.9%が女性であるという報告が出されており、
女性の被害者が多いことが単純統計にありますが、ジェンダーの視点からの分析がされていません。
分析し、「障害者権利条約第16条」に対応できるよう、
女性に重点を置いた施策立案が必要であり、法令にも障害のある女性への支援を記述する改正が必要です。

DPI女性障害者ネットワークが2011年に行った、
障害のある女性の「複合差別実態調査」では、
回答者87名のうち35%が性的被害を経験しており、
それはあくまでも氷山の一角にしか過ぎないことが分かっています。

また「障害者虐待防止法」には、虐待や暴力を禁止し、
防止しなければならないものだと書かれてあります。
ここには、福祉施設従事者、使用者や雇用主、養護者による
虐待を受けたと思われる障害者を、発見した者は、
市町村に通報しなければならないという「通報義務」があります。
問題は、医療機関・学校・保育所における虐待は、
通報義務の対象とされていないことです。
障害がある女性の「複合差別実態調査」でも、
医療機関、学校での虐待や暴力が報告されています。
しかし、学校や病院は通報義務の対象とされていないのです。
これでは問題が潜在化してしまうからです。


5月から集中的に行われてきたワーキングセッションが、すべて終了しました。
一週間に四コマとか、ありましたがすべて出席することができ
あらゆる分野において勉強になりました。
また、参考人として出席されている省庁の方の中にも
委員や傍聴者を慮った回答ができる人もいれば、逆なでするような回答をする人もいます。
立場は関係なく、一人の人間としての視点も勉強になります。
次は、6月29日に、第22回障害者政策委員会が開催されます。
ワーキングセッションで議論できなかったことを取り上げる予定です。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/index.html