障害者政策委員会ワーキング・セッション(教育、雇用)第二回

遅くなりましたが、6月5日内閣府障害者政策委員会で「教育」分野のワーキングセッション第二回目が開かれました。


●ワーキング・セッション?:インクルーシブ教育システム、雇用など(第2回目)
コーディネーター:佐藤委員、柘植委員、辻井委員
参考人:大南英明(全国特別支援教育推進連盟)、田中伸明(弁護士)、永野仁美(上智大学)、村上由美(言語聴覚士
出席委員:9名


雇用、教育それぞれ、前回の質問に対する回答が各省からありました。
これらは内閣府のHPに資料がアップされています。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/ws3/270605/index.html


今回の私の発言は以下の通りですが、雇用も教育も私の専門分野ではありません。
聴覚障害領域の専門家を参考人に追加する提案を出しましたが、適わず。
(かといって放っておくわけにも、欠席するわけにもいかず…)
自分なりに、聴覚障害領域の専門家の方々にヒアリングし、
ご指導をいただきながら質問と発言事項を整理しました。


<雇用に関して>
厚労省からの回答を受けて(資料3、P3、男女別データ等について)
障害者雇用状況報告について、企業側の負担も考慮して男女別での報告を求めていない」
という回答ですが、
政府として権利条約に沿って国内法制度(障害者基本計画等)を
運用していく、となっているので、
男性か女性かということにも着眼しなければ、今後は成り立ちません。
それを考えると、
調査の直接の目的が「雇用促進」であるということが、
「性別のデータをとらない理由」にはなりませんし、
「事業所の負担」ももちろん理由にならない、と言えます。
2つの調査(障害者雇用実態調査と、障害者雇用状況報告)は
どちらも同じ課が所管していますが、根拠法は異なっており。
毎年調査して詳細な内容がある「障害者雇用状況報告」の利活用がすすまないと、基本計画の評価にも支障がでます。


<教育に関して>
■通常の学級に在籍する、障害のある児童生徒の状況や
指導方法に関する実態調査があれば資料として加えていただきたい。
なければその取組の計画等を実施状況に明記されてはいかがでしょうか。


■3-(1)-4、医療・福祉等関係機関との連携について
文科省からの回答P4、12番目
都道府県教育委員会等に対し、医療・福祉関係機関との連携の強化、
厚生労働省関連の事業の活用等について周知しているとすれば、
その周知による、聴覚障害における早期支援連携体制の現状改善はどうなっているのか。
理由は、聴覚障害においては新生児の聴覚スクリーニングが
全国的に普及してきていますが、医療・療育関係者主導で早期検査や支援が行われており、
聴覚特別支援学校を始めとする教育機関との連携が構築されていないという
現状があるからです。


このセッションでは、高等教育に関してあまり議論されていないので
以下三つ質問をしました。
<高等教育について>
■3-(3)-1、3-(3)-5について
実施状況には「セミナーを通して啓発に努めている」と書かれているが、
大学における情報保障やバリアフリー化、相談窓口の設置状況等については、
日本学生支援機構の調査(※)により、もっと具体的な実態が明らかにされているはずです。
実施状況には、こうした調査に基づき、より具体的な実態を記載していただきたい。
また、文科省としてこれらの結果をどう評価しているのか、
そこからどんな施策に繋げていく予定なのかを教えて欲しいです。

日本学生支援機構の調査→
「大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査」
ノートテイク/パソコンノートテイク/手話通訳の実施率や支援室の設置率など
がかなり細かく調査されている。


■3-(3)-1について
障害のある学生の平等な授業参加には、この支援を行う専門的人材、
たとえば専門性のある専任教職員、コーディネーター、相談員、
手話通訳等の技術をもつ支援者の存在が不可欠です。
この養成については、ここに書かれている文科省報告の「第1次まとめ」においても、
重要な中長期的課題とされていますが、具体的な取り組みが見えてきません。
取り組み状況や取り組みのための計画等があれば聞かせてください。


■3-(3)-5について
先進的な取り組みを行う大学等を支援し、大学間ネットワークを育てるための手段として、
文科省報告「第1次まとめ」では、「地域の拠点校を整備し、
その取り組みを重点的に支援していく」と書かれています。この拠点校は、
日本学生支援機構の『障害学生修学支援ネットワーク事業』の拠点校とは別物である」
と注釈が書かれているものですが、この部分についての取り組み、
地域拠点校の育成は現状どうなっているのか、お聞かせください。


今回の委員からの質問に対する回答は、全て後日文書での回答ということになりました。
次は、12日にワーキングセッション?(成年後見制度も含めた意思決定支援など)が開催されます。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/index.html