障害者政策委員会ワーキングセッション、情報アクセシビリティ

6月1日は、内閣府の障害者政策委員会のワーキングセッションでした。
特に議論すべき分野別にテーマを設けたセッションです。



この日の午前中は
■ワーキングセッション?:情報アクセシビリティ(第二回目)
○コーディネーター:石野委員、門川委員、竹下委員
参考人:近藤武夫(東京大学)、新谷友良(全日本難聴者・中途失聴者団体連合会)、寺島彰(浦和大学

午後は
■ワーキングセッション?:精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など(第二回目)
○コーディネーター:上野委員、大濱委員、川崎委員、平川委員
参考人:池原毅和(東京アドヴォカシー法律事務所)、折田みどり(人工呼吸器をつけた子の親の会<バクバクの会>)、
竹田保(ホップ障害者地域生活支援センター)、 山本深雪(大阪精神医療人権センター)


特に、情報アクセシビリティの分野は、情報障害といわれる聴覚障害に深く関わっています。
私が発言、質問したのは以下二つです。


1、P63、6-(3)-1、6-(3)-3
情報アクセシビリティの分野は、情報障害といわれる聴覚障害に深く関わっており
これまで様々な施策が進められてきたのは素晴らしいことだと思います。
一方で、身体障害者手帳を持たない難聴者は、
約二千万人程度いるといわれておりますが、そうした方々は
日常生活に様々な困難を強いられているにも関わらず、
手話通訳者や要約筆記者の派遣サービス等、必要なサービスを受けられないのです。
制度の「谷間」にいる難聴者への施策のために、
身体障害者手帳を持たない難聴者の状況」を把握する実態調査をする必要があります。
国として、難聴者が生活や就労、就学の面でどんなことに困っているのか、
把握したデータは現在ありませんね?

参考までに、国連の世界保健機関(WHO)では
41デシベルから補聴器の装用を推奨していますが、
日本では、聴力が70デシベル以上でないと身体障害者手帳を取得することができません。
70デシベルというのは、
一般的に普通の話し声での会話も難しく、うるさい場所や、
複数人いる場所でのコミュニケーションに相当な困難を伴います。
それは、このような会議への参加が難しく、学校の授業が聞こえにくく、
友達や周囲とのコミュニケーションも難しく、
非常時には情報から取り残されてしまう可能性があるということです。
身体障害者福祉法の基準以下の(軽度〜中等度の)難聴者は、
手話通訳者や要約筆記者の派遣サービス等、必要なサービスを受けられないのです。
平成27年度に「生活のしづらさなど関する調査」において、
調査項目に「難聴者の生活のしづらさに関する調査項目」を加えるなどして、
難聴者の情報アクセシビリティの施策に対応できるようにして頂きたいと思います。



2、意思疎通支援事業と生活支援について、障害のある女性の立場から
女性の相談窓口に関する情報アクセシビリティも課題として検討する必要があります。
聴覚言語障害がある人が利用することも想定して、
電話だけでなくFAXやメールなどで連絡ができるようにすること、
面談では、手話や筆談等、障害者本人の希望に沿うようにできることが
必要ですが、そうした施策を積極的にすすめること等は考えられていますか?

理由は、「内閣府男女共同参画局」のHPには
「女性問題に関する相談窓口」の一覧表があり、全国の相談窓口が紹介されています。
例えば障害のある女性が、性的被害や、DV(ドメスティックバイオレンス)について
相談したいとき、女性の立場で相談をしたいと思っても
「障害者のことは障害者福祉の窓口に」と、たらいまわしにされる事例が多くあるのです。
被害者は、相談をしていることを、周囲の人に知られたら危険ということからも、
障害者福祉の窓口は適切と言えません。
女性の相談窓口に、障害のある女性も、安全に安心して連絡し、相談できることが必要です。

参考までに、DPI女性障害者ネットワークが障害女性を対象に、
2011年に実施した「障害のある女性の複合差別実態調査」では、
回答者87名のうち35%が性的被害を経験しているという結果があります。
この調査では、現在もなお、障害のある女性の多くが、被害を受けているにもかかわらず、
性的被害を受けた障害女性に対する支援制度、相談制度が整っていないために
問題が潜在化している可能性が示唆されているからです。


制度の谷間の問題は、難聴者に限らず、他の障害や難病の方にも共通することです。
難しい問題ですが、きちんと対応しなくてはなりませんね。
女性の相談窓口については、とくにDVで悩んでいても
障害福祉窓口」では男性が対応したり、顔見知りの人だと相談しにくく
我慢をしてしまう人が多くいると聞きました。
上記のデータは氷山の一角なんだろうなと、思います。



どれも深く、重い問題ばかりで、午前午後と続けると
本当にグッタリ。帰り道、友人とすれ違ったのですが
「すっごい疲れた顔してたよ〜大丈夫?」と声をかけられました。笑