障害者政策委員会23回の報告、次回のお知らせ

7月10日障害者政策委員会第23回が開かれました。
そして次回は8月10日月曜日13:15〜16:15です。
傍聴の受け付けが始まり、締め切りは8月3日(月)17時までです。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/24_youkou.html



さて、この日興味深かったのは参考人として来てくださった
国立社会保障・人口問題研究所 情報調査分析部長の勝又幸子さんの話し。
障害者権利条約では、第31条「統計及び資料の収集」で締結国に、資料を整備することを求めています。
しかし、日本では三つの課題があると指摘されました。


1、 障害者と障害のない人の比較が可能となるデータがないこと
2、 複合差別の解消に役立てるために、性別調査の徹底が必要なこと
3、 事実に基づく政策立案と事後評価のために、国と自治体の様々な統計データの活用が必要だが、そのための施策がないこと


6月5日のワーキングセッション(教育・雇用)の時に私は、
障害者雇用状況調査の調査票に性別の項目を入れ集計する必要がある」
という提案をしました。
これに対し、厚生労働省障害者雇用対策課は
「それは雇用促進法の目的外であって、メリットがないとできない」という趣旨の返答でした。
勝又さんはこのことに対して、
「一般の雇用者の男女差と同様、障害者雇用者の男女差も
女性の社会進出には重要な解消すべき問題であり、複合差別解消のためにも
男女別統計の整備は不可欠である」と述べられました。
つまり、デメリットを解消するメリットがあるということです。
勝又さんの提出資料は、内閣府のHPにアップされています。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_23/index.html


私はこの政策委員会に関わるようになってから、
障害者という差別に加えて
女性であることによる差別もあることを知りました。
例えば、女性であり障害があることで子を産む権利をはく奪されるとか
知的障害のある女性が、性風俗の対象となりやすいとか
聴覚障害があり発話が困難なことを知った上で痴漢行為の対象にするなどよく聞く話です。
このような障害女性の課題は収入の格差にも表れており、
単身世帯について男性全体の年収を100 とすると、
女性全体は66、障害男性は44、そして障害女性は22(92 万円)という低さです。
(勝又幸子他「障害者の所得保障と自立支援施策に関する調査研究」
厚生労働省科学研究費補助金平成17-19 年度調査報告書』2008 年)



あらゆる調査を行うとき、障害者という枠でひとくくりにせず
性別調査の徹底をすることで、障害のある女性の実態を明らかにし、
複合差別の解消につなげていく必要があると思います。


次回の障害者政策委員会は、8月10日は
障害のある女性委員として、大日方さんと私が、発言の時間を頂きました。
国連の権利条約には、第6条、第23条、25条など、
家族の形成、性と生殖および健康、保健サービス等、
女性が安心して生み、育てることができる環境など、細かくかかれているのに、
国内の基本計画には対応する項目がないことの不自然さなどを話そうと思います。